更新日 2019/9/5
TPPの本質
あれ程騒いで強行採決したTPPが昨年末に発効した。しかし、メディアはTPPの法案について成立前も成立後も中身をきちんと報じていないように思う。TPPの本質は関税の引き下げではない。
TPPの本質は非関税障壁の撤廃(=外圧による規制緩和)という形で日本の社会を大きく変質させる可能性があることだ。国民の生活が破壊され、日本の文化自体も変質してしまうことになるだろう。小泉進次郎がTPPに熱心なのはTPPが大好きな規制緩和につながるからだ。
賃金はますます下がり、年金も連動して下がって行くことになる。それだけだはない。日本の安心安全が自分たちでコントロールすることができなくなる。
👉金融庁が「年金給付はこれから下がる、2000万円貯めておけ」の報告書!“年金は安心”の嘘を自ら暴露する安倍政権
グローバル企業の利益が優先され、水道が値上がりし、農薬まみれの食品を買わざるを得なくなる。輸入品が安く買えると喜んでいる場合ではない。自給率の低下により食の安全保障が脆弱になり、海外で天災が発生して輸入食品が高騰するリスクだけでなく、輸出国自体が他国に輸出するほどの生産量が確保できなければ輸入自体が止まることになる。そのとき国産の穀物がどれだけ残っているだろうか。
既に種子法の廃止と農業競争力強化支援法の導入、農薬の残留濃度基準の規制緩和により穀物メジャーによる遺伝子組み換え食物と農薬のセット販売のための体制が日本で整いつつあることをどれだけの国民が知っているだろうか。知る権利を標榜する新聞がこの事実を積極的に国民に知らせているだろうか。
堤未果の「日本が売られる」という本には「日本は世界一の遺伝子組み換えの食品輸入大国だが、表示に関する法律は、どれもほとんどがざる法だ。」ということが指摘されている。日頃、子どもの食品に気を使っている若い母親はその事実を認識しているのだろうか。
私たちの対抗策
争点を国民の自己責任という問題にすり替える国の無責任に対して対抗する方策はないのだろうか。私はあると思う。信用できない国の言うことを安易に信じないで推定有罪?という原則できちんとした情報公開がされない食品を買わなければいい。子どもの食の安全を口にする若い女性が、一方で安ければ安いほどいいという購買行動が結局、食の安心安全を放棄しているということに気がついていない。
八田所長は、全粒粉でのグリホサートの検出が目立つ理由について「プレハーベスト処理をした小麦の外皮を多く含んでいるから」と説明。全粒粉は食物繊維やビタミン、ミネラル類が豊富で「健康にいい」と言われているだけに、健康に気を使っている消費者にとっては衝撃の結果だろう。
高い商品が安全とは言い切れないが、食品についての情報公開を積極的にする企業と情報公開に消極的で安全性の根拠を示さない企業のどちらから食品を買うかという選択を消費者は購買行動で示すことで食品に対する情報公開を促すことができるはずだ。
愚かな自治体
一部の愚かな自治体がグローバル企業へ水道事業の運営権の売却を始めている。運営権を売って一時的に多額の資金が入ってきても老朽化する設備の費用が削減されるわけではない。そのコストは役所が得意の受益者負担という名目で運営企業が市民から徴収する水道代や下水道代に転嫁するか、自治体が莫大な更新費を負担するしかないのは明らかだ。どちらにしても住民が負担することに変わりない。
民間への事業売却は役所が得意の先のことなど考えないいつもの先送りの一つにすぎない。平成の大合併の失敗でも国は責任を取らなかったから水道事業の売却で発生する将来の自治体の財政難は自治体の自己責任という結果に終わるのは目に見えている。
その時にTPPの条項が自治体の手足を縛ることになる。再度、公営化するときに買収したグローバル企業の賠償請求に耐えられる財政力が自治体に残っているとは思えない。夕張市のように逃げられる住民は他の自治体に逃げ、行き場のない人たちは死ぬまで高い水を買わされることになる。それでも生きて行くためには買うしかない。その時になって自分は賛成したわけでないという言い訳は通らない。それが麻生を代表とする自己責任論者たちの本心だ。自己責任論者の中には小泉進次郎が含まれることを忘れてはならない。彼は自助努力と表現しているだけだ。
自治体が倒産しても国は困らない~住民はそのとき脱出できるか
きっと自治体が倒産しても国は困らない。厄介な生活保護者同様、努力が足りないと言って切り捨てるのだろう。それどころか道州制の推進には都合がいい。道州制を唱える橋下徹と安倍政権の利害は一致している。大阪で規制緩和の実験が進んでいるのは偶然ではない。
自助努力と規制緩和、そして最先端技術が大好きな小泉進次郎と橋下徹はコインの裏表にすぎない。本質は変わらない。性格の悪さを売りにするか、隠すかの違いにすぎない。
橋下徹の提唱している都構想もミニ道州制だと考えられる。二重行政が問題なのではない。自分たちの主張の実現のために大阪市が邪魔なだけにすぎない。
維新が主張する大阪都構想と道州制ビジョン懇談会がまとめた報告書(「国と地方役割分担について」)の中の意見がとてもよく似ている。二つとも二重行政の解消に焦点が当たっている。要は重要なことは国や大阪府が決めるから基礎自治体や区は、「住民や地域に身近な行政サービス」を提供することに専念しろという上から目線の中央集権化を目指している。自治体は住民に身近な事務処理だけやっていればいいということだろう。
小泉進次郎がTPPを礼賛している~情報公開は知らん顔
世論調査で支持する人が多い小泉進次郎がTPPを礼賛しているが、彼は情報公開という点では最低だ。プライベートだけでなく原発等の微妙な問題については何を考えているのかさっぱり分からない。確か、彼は福島の復興なくして…と主張していたはずだが、進んだのは復興資金による公共工事だけだったのではないのか。汚染土は福島に放置されたままで、その汚染土を公共工事に再利用する動きが進んでいる。
世論が割れる微妙な問題について小泉進次郎が発言したのを聞いたことがない。沖縄の知事選の応援演説でも基地問題には一切触れず、相変わらずのご当地ネタだけだった。ガス抜き発言と根拠のない前向きな話しかしない小泉進次郎の個人資産がゼロ(普通預金を除く)だというから驚きだ。車も不動産も持っていないというクリーンさには驚かされる。しかし、年収は億を超えるとも報道されているから不思議だ。要は公開対象の資産は持っていないということのようだ。
👉小泉進次郎氏が資産ゼロ?!議員所有の不動産と資産ランキングのカラクリ
ピンチがチャンスだった試しはない
『訪米中の自民党の小泉進次郎衆院議員は3日、ワシントンの有力政策研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」で講演し、米政界関係者らに次世代リーダーとしての存在感をアピールした。』と読売新聞が報じている。しかも、安保法制で問題になったリチャード・アーミテージ元国務副長官らが駆け付けたそうだから推して知るべしだ。
👉小泉進次郎氏 9条への自衛隊明記「当然だ」違憲論争「放置おかしい」
♢進次郎氏、ケネディ流の言葉で「人口減はチャンス」~小泉氏は、少子高齢化が進む日本について、「我々には成功のチャンスがある。人口減少と高齢化は日本の『ニューフロンティア』だ」と強調。高齢化社会でも最先端技術の活用などで活力を維持できるとし、「日本が変革する可能性について楽観している」と訴えた。(2019年5月4日 読売新聞)
最先端技術の活用ではなく、安倍政権が熱心に取り組んでいるのは外国人労働者の流入拡大という陳腐な問題先送り政策だけではないだろうか。社会保障費の問題はやがて低賃金の外国人労働者の分が加算されてもっと深刻になるだろう。進次郎が楽観する具体的な根拠はどこにも存在しない。
正直、私は進次郎がTPPの条文を読むだけの語学力があるのか疑問に思っている。エスカレーター方式の一貫校を出て米国に短期間留学しているが、箔づけに行ったとしか思えない。安倍総理の学歴ととてもよく似ている。民間で働いたこともない人間が民間企業の厳しい競争環境を例に挙げて競争の重要性を主張しているが、親の地盤を引き継いだ人間が国民に自助努力を強要する姿には共感できない。
上記の記事はどういう意図で書かれたのだろうか。「彼のスピーチには伝えるべき『内容』があり、伝えたい『思い』があった。」と書いているのに「中身そのものについては考察しない」というのはどういうことだろうか。
「目の前の多様な聴衆の笑いを取れるユーモアや、これまでの政治家としての活動で培ったであろう多数の聴衆の前で臆さず話せる自信があった。」ということは普段の演説を英語でスピーチしただけということだろう。小泉進次郎のスピーチの様子はこの記事の中のYouTubeのリンクで見ることができる。
ピンチはチャンスというフレーズと前向きという言葉が彼は大好きで彼の演説の定番だ。しかし、ガス抜きだけでピンチがチャンスに変わったことはこれまで一度もない。使い古された定番フレーズだ。
原稿を見ながらのスピーチと英語の読解力は別物だと思う。かつて英会話が苦手な高名な情報処理分野の研究者を私は間近で見たことがあるが、彼らを尋ねて来た海外の研究者と通訳同席で議論していた。
しかし、同席していた通訳は、専門分野の知識は皆無だった。通訳に求められていたのは専門分野の知識ではなく、日常会話の補助だったからその通訳は他の研究者からも重宝されていた。
小泉進次郎は正式な日本語の条約文が存在しない英文のTPPの条文を本当に読んだのだろうかというのが私の疑問だ。話を面白おかしく話せるお笑い芸人はいるが、理解力、判断力を話が上手というだけで評価できるだろうか。お笑い芸人は物事の中から聴衆の興味を引きそうなネタを見つけるのがうまい人にすぎないように思う。
この間、辞任した桜田義孝五輪相が、安倍総理の通訳を介さず話せる語学力を称賛していたが、この人の能力の低さは政治家とかいう以前のレベルの問題ではないだろうか。事実誤認も甚だしい。基礎能力と理解力が低すぎる。
正直、私は語学力で人を評価するつもりは全くない。それどころが英語はできるけれども仕事はさっぱりの人がいることを仕事の中で経験している。それに現在は会話レベルなら翻訳機がある。重要な場面は通訳を使える人は優秀な通訳を利用するべきだと思っている。
報道されたくない情報について取り巻きがマスコミに圧力をかけたり、マスコミが忖度して報道を自粛するから憶測を呼ぶのだと思う。権力者や国民の人気者を批判的に書くと支持者や世論からの反発を招くため、書くのを控えるというなら、メディアがことさら知る権利を標榜するなと言いたい。
小泉進次郎や安倍総理の語学能力についての記事はゴシップ記事ではない。事実を報道するべきだと思う。進次郎が並外れた語学力の持ち主でも凡庸な語学力でもそれはそれでいい。並外れた人たらしでないことだけを願っている。
何が問題なのかと言えば、語学があまり得意でないという事実を隠すことだ。正々堂々と語学が得意でないことを表明すればいい。それで能力を疑うような輩こそ語学の優位性で能力をカモフラージュしているのではないだろうか。
語学力を誇示する河野太郎は親分の麻生太郎にとてもよく似ている。名前も同じ太郎で歯に衣着せぬ世間常識破りの発言が群を抜いている。
争点隠しが始まっている~アメリカとの貿易交渉先送り
最近、日米貿易協定交渉が参院選後に先送りされたことが報じられた。これは何を意味しているのだろうか。おそらく、日本に不利な形で日米貿易協定交渉が終結されることを示唆しているのだろう。安倍総理はトランプ大統領が日米貿易協定交渉の先送りを受け入れてくれる取引(ディール)を提案したのだろう。
♢【ワシントン時事】米誌タイムは2日までに、新たな日米貿易協定交渉について、今年夏の参院選後に本格化する見通しだと報じた。トランプ大統領が先週末の首脳会談で、安倍晋三首相に配慮する姿勢を見せたという。日本政府は、農産物や自動車の市場開放協議が選挙に及ぼす影響を最小限にとどめたい方針を伝えたとみられる。タイム誌によると、トランプ大統領は交渉責任者であるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表らの助言を無視し、「本格的な協議を先送りすることに応じた」という。両国は今月中にも、個別品目の関税撤廃・引き下げに向けた事務レベルの調整に着手するとされるが、最終決着は参院選後に持ち越される可能性が高い。(2019年5月3日 時事通信)
👉日本政府、米にF35を105機購入の意向示す トランプ氏「同盟国中、最大の部隊に」
♢政府は22日、カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備に当たっての基本方針の公表を、夏の参院選以降に先送りする方針を固めた。カジノ開業には国民の不安も根強く、選挙への影響を考慮したとみられる。(2019/5/22 時事通信)
とりわけ、農業、漁業、林業等の一次産業に携わる人はTPPや日米貿易協定交渉による自分の仕事への影響を見極めた上で、参院選で投票するべきだ。日本の自給率の命運が7月の参院選もしくは衆参ダブル選にかかっている。
👉【令和の未来 参院選政策を問う】農業・票争奪へなりふり構わぬ自民 野党は補償復活を柱
♢「年金財政検証」公表遅れ「2000万円」問題に続き火種~公的年金制度の健全性を五年に一度チェックする財政検証の公表が遅れている。政府・与党は、公的年金以外に二千万円の蓄えが老後に必要と試算した金融庁審議会の報告書を、夏の参院選に悪影響とみて事実上、撤回したばかり。野党は、年金財政検証も公表を先送りするようなら「参院選の争点隠しだ」と批判している。(2019年6月13日 東京新聞)
国家戦略特区法はTPPの国内版
2013年12月に特定機密保護法と同時に成立した「国家戦略特区法」(2015年7月に改正国家戦略特区法)が成立している)がTPPの国内版だと指摘されている。前述の「日本の仕事が売られる」という本には次のように書いてある。
『TPPに途中参加した日本が、その入場料として、あの時アメリカと約束した「日米二国間文書」。TPPを推進する米国財界の夢である「人・モノ・サービス」の3つが、規制なしで自由に取引される世界。彼らの意向に沿って、日本政府がその下準備としての法改正を、この間着実に進めてきたこと。その入り口が、「国家戦略特区」だったのだ。投資家たちは、リスクを嫌う。万が一、参加国の交渉が分裂したり、国内から障害物(トランプのようなTPP反対の大統領だ)が出てくるリスクに備え、最大ターゲットの日本に対し、事前準備をさせておくほどに抜かりない。…2018年6月15日。政府は「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)で、ついに2025年までに、50万人の外国人労働者を受け入れる方針を発表した。』
TPPが本格的に動き出したときに対応するための法整備が現在、着々と進められている。最近では水道事業法が改正され、実質的に移民の受け入れを拡大するための改正出入国管理法が4月1日から施行された。
👉日本はすでに「移民社会」なのに… 「移民政策ではない」と政府が言い張る理由
種子法の廃止、農業競争力強化支援法の導入、種苗法の改正が進められ、日本の小規模農家はやがて消滅することになる。こうした法改正はTPPの条約に対応するための対策だ。
政府が中身を後から決める法案を矢継ぎ早に強行採決してきたのはグローバル企業の活動の自由を支援するための法案を早く整備することが必要だったからだ。そして、こうした法案の早期の強行採決は参院選に影響が出ないための対策でもあったのだ。
平成のうちに気づかぬ間にTPPに対応した法律に書き換えるために作られた法案を短時間で強行採決し、しかも成立後に省令で後から中身を決めるというという法案を国会で審議するというのだからモラルもくそもない。
こうした規制改革法案の推進を担っているのが産業競争力会議のメンバーで「時間内に仕事を終えられない生産性の低い人に、残業代という補助金を出すのは、一般論としておかしいからです」と発言した竹中平蔵だ。
👉竹中平蔵パソナ会長「残業代を出すのは一般論としておかしい」「労働者でなく私のニーズで高プロ提唱」
彼は国家戦略特区諮問会議メンバーであり、人材派遣最大手パソナグループ取締役会長の発言だというから呆れてしまう。残業代を補助金と公言するような人が経営者を務めているのだから日本の未来はない。そして、パソナが国から膨大な補助金事業を受注しているというのだから安倍政権の取り巻きはモラルのない人たちばかりだ。テレビ東京のドラマで主人公がよく「クズ中のクズ」とつぶやいていたことを思い出す。
👉「長時間労働がない」ドイツと日本の致命的な差 「仕事は原則8時間以下」が彼らのモットーだ
悲願の憲法改正のためなら何でもあり
安倍総理は憲法改正のための三分の二以上の議席の維持を最優先しているのだろう。なにしろ、安倍総理は憲法改正のために国会議員になったと昭恵夫人に告白している人だから。憲法改正は手段ではなく、政治生命をかけた目的なのだ。自分を可愛がってくれた爺ちゃんのために。
👉安倍首相「議論すらしないのか」野党挑発、参院選で憲法問う考え強調
👉【安倍政権考】経済から外交へ 安倍自民の参院選公約の移り変わり~28年公約で重点項目にしなかった憲法も「憲法改正を目指す」と明記し、参院選の争点とする姿勢を鮮明に打ち出した。
♦ロシア、2島返還協議入りも拒否 政権支持率低下を懸念~安倍政権が進める日ロ平和条約交渉で、ロシア側が日米同盟による脅威などを理由に、1956年の日ソ共同宣言に明記された歯舞群島と色丹島の2島引き渡しの協議入りも拒否していたことが14日分かった。複数の日ロ関係筋が明らかにした。プーチン政権内で領土問題の譲歩による支持率低下の懸念が高まったためという。日本側はロシア側に配慮し、北方四島は「日本固有の領土」との従来の主張を封印して2島返還での決着を図ったが、こうした安倍晋三首相の戦略の行き詰まりが明確になった。ロシア主導の交渉が続けば、さらに譲歩を迫られる恐れがある。(2019/07/14 共同通信)
北朝鮮の脅威を国難として衆議院の解散総選挙を行ってからまだ2年も経っていない。それなのに今度は「あの安倍首相が金正恩委員長との首脳会談に関して条件をつけずにと言い始めたこと」にも私はちっとも驚かない。
👉安倍首相“北朝鮮無条件会談”に安倍応援団が手のひら返しでお追従! 八代弁護士、青山繁晴、竹田恒泰らが一斉に
新しい判断と言って消費税を19年10月まで2年半延期し、3年前の参院選で国民の信を問うたことを国民は忘れているのだろうか。最近、幼児教育・保育を無償化する改正子ども・子育て支援法と、低所得者世帯を対象に大学など高等教育を無償化する大学等修学支援法が10日に成立したが、これらの法案の原資となる消費税の再延期の可能性についても首相の取り巻きはあり得ると発言している。要は何でもありということだ。モラルの底はとうの昔に抜けている。
👉無償化法が成立 幼保は10月、大学は20年4月から~幼保無償化は10月から、大学無償化は2020年4月からそれぞれ始まる。財源はいずれも10月に予定する消費税率10%への引き上げ分を充てる。
おそらく、いろいろな観測気球を揚げて世論の反応を窺っているのだろう。参院選に有利か不利かで今後の方向を決めるつもりだろう。改元、天皇の退位、トランプ大統領の訪日、そしてTOKIOのメンバーとの会食も安倍総理にとって参院選で有利に戦うためのイベントにすぎないのだろう。
しかし、驚いたのは日本経済新聞や時事通信までTOKIOとの会食を報道していることだ。マスメディアの劣化が止まらない。時間が足りないはずの首相がタレントと会食する時間があるというのも不思議だ。国会が終わると逃げるように息抜きの外遊に出かけるのが習慣になっているのではないだろうか。
👉安倍首相 高畑充希らと会談も「会うべき人が違う」と非難殺到
♢【外交安保取材】首相の国会拘束時間は長すぎ? 外交力強化に不可欠の国会改革~安倍首相も国会への出席時間について「自分は世界一長いのではないか」と親しい議員に語っている。諸外国と比較して、日本の首相の国会出席日数が多いのは紛れもない事実だ。(産経新聞 2019年2月1日)
小泉元首相の産んだ平成のキツネとタヌキの化かし合い
嘘をつくことに何のためらいもない人がいつまで総理を続けるつもりだろうか。小泉元首相は政治の世界はキツネとタヌキツネの化かし合いだと言っている。小泉氏が生んでその手法を真似た安倍、小池、橋下、進次郎はキツネなのか、タヌキなのかを国民は見極める必要がある。
安倍首相が繰り出すイベントは桜田五輪相の失言を始めとした不祥事の上書きという側面もあるのだろう。忘れっぽい日本国民は3歩歩かずとも新しいイベントが発表されると直前の不祥事のことを忘れてしまう。安倍政権はマスコミを使って国民のこうした特性をうまく利用しているように思う。
規制緩和は善か悪かという単純な問題ではなく、規制を見直すべき事項ときちんと規制すべき事項があるのになんでもかんでも規制緩和するのが正しいという風潮を生んだ責任は小泉元総理にあると思う。聖域なき構造改革を叫んで結局、見境のない制度破壊が繰り返されただけのように思う。
郵政民営化に反対する議員に対しては選挙で刺客を立て、小泉チルドレンが生まれ、その後の政権でもろくでもない小沢チルドレン、安倍チルドレンが誕生し、小泉劇場、橋下劇場、小池劇場というパフォーマンス政治が政治の潮流となってしまった。
そして、後発のリーダーが唯一継承しなかったのが情報公開だった。小池は築地市場の豊洲への移転で情報公開に熱心な政治家というイメージで一時的に世論の支持を得たが、希望の党の立ち上げで本性を露見して失墜した。
♢首相官邸 打ち合わせ記録一切作らず「作業責任は官庁側」指示の検証不能~安倍晋三首相が官邸で官庁幹部と面談した際に、首相官邸が議事概要などの打ち合わせ記録を一切作成していないことが、官邸への取材で明らかになった。(2019/6/2 毎日新聞)
♢公文書クライシス 文書保存ルール 大臣もなし 全官庁で 廃棄、散逸の恐れ~大臣が在職中に保有する公文書について、退任時に保存するルールがないことが、大臣のいる全14官庁への取材で判明した。複数の大臣経験者らによると、退任時に文書を持ち出したり、自ら処分したりするなど対応はバラバラで、廃棄や散逸の恐れがあるという。一方、経済産業省では、大臣に示した文書を半年後にサーバーから自動削除するなど廃棄につながる動きがあることも判明。識者は「大臣の政策判断の検証が困難になる。保存のルールが必要だ」と指摘している。(2019/7/17 毎日新聞)
私は、以前は小泉元首相をバランス感覚に優れ、情報公開に熱心な変人として評価していたが、最近は疑問を持っている。親ばかの対米追従論者にすぎないのかもしれないと今は思っている。
小泉元首相が原発問題以外の政治問題について発言しないのは原発以外の本音を言うと原発問題自体の発言にマイナスだと考えているふしがある。例えば、小泉元首相は憲法9条の改正自体には賛成であることを「小泉純一郎独白」というインタビュー本の中で吐露している。
可愛いバカ息子の進次郎については彼には彼なりの考えがあるとして擁護している。だからTPPについて小泉元首相がどう考えているのか発言したのを聞いたことがない。
小泉元首相は自民党をぶっ壊したか
郵政民営化のための選挙で自民党をぶっ壊すと言っていたが、独白本の中では新党はみんな失敗に終わっており、自民党以外に選択肢がないというようなことを言っている。
しかし、本当にそうだろうか。私が民主党政権に失望したのは自民党政権と変わらないと感じたからだ。小沢一郎は自民党が得意とする陳情政治と利益誘導政治で政党をコントロールしようとした。その点は今の安倍政権と変わらない。
これまでに立ち上げられた政党はほとんど自民党を離党した政治家が立ち上げたものばかりで本質的には自民党の体質が抜けていない政党ばかりだから失敗したのではないだろうか。
小泉氏がぶっ壊すと宣言した自民党は耐性菌のように以前より情報隠蔽体質が増し、醜い政党に変質したように思う。選挙に勝つのが仕事で小泉元首相が言っているような国民の大多数が望む政策を実現するという視点はゼロだ。選挙に勝ったら自分たちが望む政策を遂行するのが民主主義だと主張する輩ばかりの集まりだ。傲慢で卑劣な人間の集まりにしか見えない。
ガバナンス能力ゼロ、年功序列、利益誘導、派閥政治、シルバー民主主義、旧態依然の老害組織等々。小泉進次郎が最初にやるべきことは国会の改革ではなく、自民党を解体することではないのだろうか。しかし、進次郎の選挙スタイルは守旧派のやり方そのものだから言っていることとやっていることに差がありすぎる。改革を標榜する保守なのか保身なのか。
👉"次の首相"小泉氏が公約破りに陥ったワケ 「平成のうち」は結局ウソになった
参院選は人気投票ではない。3年前の参院選のタレント候補は今どうしているのだろうか。今井絵理子は不倫で話題になったが、元ビーチバレー選手の朝日健太郎の名前をその後聞いた記憶がない。
もう野党のせいにするのはやめるべき
いい加減、現在の政治の低迷の責任を野党のせいにするのはやめた方がいい。最大の責任は有権者である国民の劣化にあると思う。スマホばかり見ていないで本を読めと言いたい。新聞ははっきり言って国民の知る権利の役には立っていない。このまま行けば紙の新聞も電子新聞も縮小して行くだけだろう。
安倍首相が懲りずに過去の民主党政権を批判している。安倍政権こそ悪夢の中の政権だ。早く私たち国民はこの悪夢から解放されたいものだ。
👉池上彰氏「『悪夢のような民主党政権』発言からにじみ出た『バラ色の自民党』意識」
👉「已む」読めなかった? 安倍首相が歴史的儀式で驚きの大失言
*読めなくても「願っております」と言い換える機転を利かせられなかった点が問題
👉「大義なき同日選」なら自民党は敗北する 冷静に考えればマイナス要素ばかり
世界の現実と日本の現実
日本で水道事業の民営化が始まったが、日本の水道事業に参入したヴェオリア社の本拠地のフランス・パリでは2009年に水道事業の民間委託に終止符が打たれている。「日本が売られる」には次のように書かれている。
『財政は不透明な上、水道管工事は同社傘下の子会社が受注するために競争が存在せず、費用は常に割高だ。相場より高額のリース料を市に請求しながら、水道管などの設備投資積み立てにはろくに資金が回されず、設備の老朽化がどんどん進んでゆく。形態は、自治体が水道の所有権を維持したまま、運営を全て民間企業に委託する「コンセッション方式」(日本政府が推進中の手法だ)だが、経営や料金設定、投資の仕方など全ての決定権はヴェオリア社とスエズ社にあり、市民には何の情報も与えられなかった。…公営化されたことで、外から見えなくなっていた財政内容や投資計画なども全て市民に公開され、パリの水公社はこの結果、約45億円のコスト削減を達成している。』
一方でパリの再公営化についての反論と思われる記事が日本経済新聞の子会社日経BP社のリサーチ・コンサルティング集団「日経BP総研」の発行媒体である「新・公民連携最前線」に掲載されている。記事を書いたのが日本政策投資銀行の人間だということを念頭に置いて記事を読む必要がある。
なぜなら、日本政策投資銀行の前身は国家戦略特区諮問委員会を動かしている竹中平蔵が勤めていた日本開発銀行であるからだ。日本政策投資銀行は経産省の政策に密接に関与している。そして、日経BP総研は「専門メディアを通して培ってきたメディア企業の力やリソースを、もっと企業や政府、自治体のために役立たせることはできないか」という発想で発足されている。
しかし、この記事も最終的に「公共側のしっかりとした監視体制が不可欠である。」ことを認めている。「人材やコストなどの面で、小規模自治体は委託した民間企業の運営を単独でモニタリングするのが難しいのが現実だ。」とも指摘しており、人材不足が深刻な自治体が民営化に踏み出すリスクを書かざるを得なかったものと思われる。結局、やるなら自己責任でどうぞということだ。
マレーシア政府は2018年6月1日に消費税を廃止している。私は、米国が消費税を導入していないのは知っていたが、マレーシアが消費税を廃止したことを知らなかった。
しかし、日本経済新聞は「消費税の廃止を6月に実施したことで、安定財源が縮小。政府は代替財源として9月に売上・サービス税を導入したが、課税対象の広い消費税収を穴埋めするには至らなかった。」と批判的な論調を展開している。まだ、始まったばかりの政策の揚げ足を取るような批判をしている。
日本でも消費税は安定財源だが、消費税により増税した分は法人税の減税で相殺されており、消費税が不足する社会保障費の財源になどになっていないことは明らかだ。
「日本が売られる」には「日本で消費税が上がっても、国民負担は増えている」という消費税導入前と2015年度時点の医療、年金等の負担の比較表が載っているので参照して欲しい。
小泉進次郎の提案する改革は労働年齢の基準を変えましょう、医療費も健康のために努力した人の保険料を下げましょうといった幼稚なものばかりだった。
以前、進次郎は、父は73歳で元気だと言っていたが、父親の小泉元首相は66歳で政界を引退しており、引退後は年金など当てにせずとも団体の顧問料や講演料等の収入があり、一般の国民とは異なる。自分の意思で働ける人と生きるために企業の都合に合わせて働かされている人を同レベルで論じる世間知らずの人の言うことに共感できない。
しかも高齢で働きたい人の例がいつもシルバー人材センターで働く人のことだ。失業率は下がっているが、現実には中高年でも仕事を選べる社会にはなっていない。農業や漁業は高齢化が進んでいるが、それは一方でこうした産業が長く働ける仕事だという証なのではないだろうか。
しかし、TPPによりグローバル企業が資金力に物を言わせて農業や漁業に参入すれば、高齢者が生きがいを持って働ける仕事はますます縮小して行くことになる。経済や生産性だけがすべてではない社会を残すのが政治家の役目ではないのだろうか。利益追求だけの企業と国民の幸福が一致するはずがない。
そもそも世の中、生産性とは無関係の仕事はいっぱいある。生産性の観点から見たらプロの野球やテニス、サッカーの選手のやっていることは生産性ゼロだと思うのだが。俳優やお笑い芸人の仕事も同じだ。ペットも何もしないのに無駄飯を食っていることになる。
だから生産性の高い仕事と言っているものはお金を稼げる仕事に過ぎないのではないのか。お金にならないものはやめてしまえと言えるのだろうか。国会議員だってとても生産的な仕事をしているとは思えない。徹夜国会を止めるのではなく、家でネットを使って議員活動をすればいい。そうすれば、議員報酬以外に支給される月額100万円の文書通信交通費もいらなくなるのではないだろうか。
進次郎の見方を変えて高齢者の定義を変えれば、世の中が変わるというのはそういうことではないのだろうか。本当に今の国会議員が必要なのかということすら議論に値することになる。
社会保障費と年金削減ばかりを強調するが、あなた方の収入は全部税金なのだということが分かっているのだろうか。貯えも使命感もあるのだろうから今後は議員報酬を返上して日本の改革のために頑張ったらどうだろうか。
👉参院選後に「年金受給68歳引き上げ」本格議論へ 生活費不足分は3000万円に
スイスでは国内の流通の7割を2大生協が占めているという。しかも、スイス最大の雇用主であり、ILOのデータによればグローバル企業より協同組合が雇用する方が、雇用が20%増えると「日本が売られる」に書かれている。
考える糸口として「日本が売られる」は読む価値がある。マスメディアが伝えたがらない不都合な情報を知る手がかりになるはずだ。本を読むことで考える癖がつく。いつも政治家の言っていることが本当のことなのだろうかという視点を私たちは忘れてはならないと思う。
ネットのフェイクニュース、誹謗中傷、誘導情報に対する抵抗力を私たちは身に着ける必要がある。スマホの情報は速いが、見出し以上の内容のない記事が多い。
<日本が売られる~目次>
(追記1)得意のピンチはチャンス!
♢金融庁金融審議会が老後資金に関して「30年間で約2000万円が必要」と示した報告書について、自民党の小泉進次郎厚生労働部会長と小倉将信金融調査会事務局長が26日、毎日新聞のインタビューに応じた。小泉氏は報告書に注目が集まったことに触れ、「社会保障改革を議論する絶好のチャンスだ」と述べた。小泉氏は「今回の問題があったから社会保障改革への関心が高まった。ピンチをチャンスに変えられる」と指摘した。(2019年6月26日 毎日新聞)
進次郎がまたぞろ得意のセリフでガス抜きを始めた。世間の人の「社会保障改革への関心が高まった」わけではなく、普段の世論調査でも年齢に関係なく、年金は国民の最大の関心事だ。これまで国民に対して年金についてきちんとした説明もせず、100年安心プランという制度改革が実は年金の給付ではなく、今頃になって制度の維持の問題だったと言われてもああそうですかと国民は納得できない。賃下げやリストラの対象になることはあるだろうが、会社はつぶれることはないから安心してほしいと言われて安心する従業員がいるだろうか。
♢年金制度に「不安感じる」83%…読売世論調査(2019/06/30 読売新聞)
まして、ピンチがチャンスというフレーズを何度も使ってきた進次郎がピンチをチャンスに変えた実績はゼロだったと思うのだが。議論するべきと言うが、情報公開をするどころか、情報隠蔽ばかりする政権が国会でまともに議論せず、多くの国民が反対している法案を次々に強行採決してきたのではないだろうか。そのときに党の決定だとして賛成してきた人にまたしてもピンチはチャンスと言われて誰が信じられるだろうか。
厚生労働部会長を務める進次郎は「議論する絶好のチャンスだ」と言いながら議論するために必要な「財政検証」の公表が遅れていることについては何も言及しない。いつも情報公開には知らん振りだ。彼は微妙な問題について言及することからいつも逃げる。父親があれだけ原発問題について発言しているのにいまだに進次郎の立ち位置は不明だ。
(追記2)消費税の廃止を真剣に考えてみるべき 無責任はどっちだ!
山本太郎参院議員(44)が設立した政治団体「れいわ新鮮組」に注目が集まっているという。消費税の廃止という既成野党では主張できない政策はまじめに考える価値があると私も思う。
消費税の廃止を頭から否定する人々がいるが、本当にそうだろうか。アメリカには消費税はないし、マレーシアが2018年6月1日に消費税を廃止している。マレーシアは実験段階かもしれないが、消費税を廃止した場合の財源について”聖域なしで”考えてみるべきだ。
10月に予定されている消費税の増税には疑問だらけだ。軽減税率という煩雑な仕組みの導入と軽減税率適用を巡って生じる利権問題。新聞に対する軽減税率の適用と情報コントロール。軽減税率導入による税収減。消費税増税を原資とした幼児教育・保育の無償化、低所得者世帯を対象にした高等教育の無償化、キャッシュレス化促進を名目にしたポイント還元等々の利益誘導政策。トヨタをはじめとした輸出比率の高い企業の輸出戻し税(輸出分の消費税の還付)の増大と税収減。
小泉元首相ですら軽減税率を適用してまで消費税を上げることには批判的だ。景気も下振れリスクが高まっているのに消費税の増税を強行したときの更なる消費の低迷に直面したときに誰が責任をとるのだろうか。
消費税の増税は、本来は社会保障費の財源に充てるためだったのではないのか。それが老後2,000万円問題で表面化した厳しい年金財政からたとえ消費税を上げても年金の削減を前提とした政策が避けて通れないというなら消費税の意味を一度立ち止まって考えてみるべきだと思う。
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待ち受けているのは増税、年金減額、保険料アップと国民の老後資産が奪い取られる未来だからだ。
消費税を上げなければ社会保障費の膨張で財政がもたないという話で国民は消費税を受け入れてきたはずだ。しかし、消費税を上げても社会保障費の大幅な削減が必要というなら消費税の見直しや消費税以外の財源確保の政策について国民に示してほしい。
例えば、輸出戻し税の廃止(輸出型企業への消費税の還付がなくなることで税収増になる)、贅沢品への物品税の拡大、行き過ぎた法人税減税の見直し、法人に対する租税措置特別法による減税措置の縮小、高額所得者の課税強化について“聖域なし”で検討してほしい。
消費税の廃止を前提とすることで代替財源について真剣な議論ができるはずだ。そういう意味でれいわ新鮮組の消費税の廃止というスローガンに賛成したい。できるわけがないというと言うときは人間はたいてい逃げ道を用意しているものだ。
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