吉祥寺の魅力
「住みたい街ランキング」が毎年SUUMOから公表されているが、正直、単なる若者の人気ランキング調査程度にしか思っていなかった。しかし、総合第1位の「吉祥寺」については、実際に街に行ってみてその理由が分かったような気がする。先週、西荻窪に用事があり、帰りに吉祥寺駅が、1駅であったため、いい機会だと思い、吉祥寺に行ってみることにした。
実際に行ってみた!
私は、こっち方面には、住んだことがない。通勤、通学でもこの地域の沿線の電車に乗ったことがほとんどないため土地勘もない。だから、人気の街がどんな街かマスコミの情報以外になく、関心もあまりなかった。しかし、実際に吉祥寺に行ってみて、その人気の理由が分かったような気がする。
駅に着いたのが、夜の8時近くで雨も降っていったため、滞在時間は、2時間もなかった。東急百貨店等のデパートも閉まっていた。それでも駅前は活気があった。改札の外を出るとアトレが線路沿いにウナギの寝床のように長く続いており、沢山の人で賑わっていた。街の第一印象は、時間帯の所為もあるだろうが、若者が多いということだ。渋谷も若者が多いが、渋谷とは、ちょっと違う層の若者、勤め人や学生が多かったように思う。遊びに来たのではなく、ここで生活している若者という感じがした。
吉祥寺に来てみて、「住みたい街ランキング」総合第1位の吉祥寺のキャッチフレーズ「幅広い層から絶大なる支持」というのが、嘘ではないように思った。商業施設が充実し、公共交通機関も発達しており、コンパクトで清潔な街だ。住みたいというよりもうらやましい街だと思った。
回遊性の高い街
ウィキペディアには「昭和40年代から当時の武蔵野市長に就任した後藤喜八郎のもとで構想された『回遊性の高い街づくり』を実現するため、吉祥寺駅を中心とした東西南北の十字線上に四つの大型商業施設が設置されている。」とあり、少子高齢化対策のモデル都市とされるコンパクトシティが既に実現している理想的な街のように思う。
「 街はJR中央線および京王井の頭線の吉祥寺駅を中心に碁盤の目状に広がって」おり、郊外のURや自治体が開発したニュータウンの街づくりビジョンの貧弱さが改めて思い知らされる。これまでのニュータウンは、住居と駅をつなぐだけの往復型の街づくりばかりだったように思う。住民や訪問客が回遊する場所がなく、年月が経ち、住人の高齢化が進むにつれて世帯人口が減少し、居住エリアも駅前も衰退していくのがこれまでのニュータウンだ。駅前は、やがてシャッター街になってしまう。折角の開発投資が、今度は、メンテナンスの負担で自治体の重荷になりつつある街は多いと思う。そして、空き家の増加が、現実に社会問題になっている。
吉祥寺はJRと京王の2つの鉄道があるだけでなく、バス便も充実しているようだ。街を歩きながら見ていると、バス停には次々とバスが入って来ては出て行き、空席はなく、立っている人が目立つ。駅前では、通行人で混雑した歩道のない商店街を通るバスの交通整理係までいた。
吉祥寺には、街づくりと少子高齢化対策として重要な交通利便性、生活利便施設が確保されており、「吉祥寺は下北沢やお茶の水と並ぶ東京有数の『学生の街』としても知られて」おり、若者が街を活気づけている。そして、近くには井の頭公園等があり、緑も豊かな街でもある。これ程、バランスのよい街は他にはないのではないだろうか。
吉祥寺に学ぶ
だからといって、皆で吉祥寺に住むわけにはいかない。しかし、学ぶことはできる。吉祥寺の良い点は、第1点が街がコンパクトであることだ。第2点は回遊性がある街づくりだ。そして、交通利便性と生活利便施設の充実だ。少子高齢化時代には、均等な国土開発はできないし、敢えて捨てるべきだ。しかし、コンパクトな街づくりは、一極集中ではない。つまり、自治体単位で核となる駅を中心にした回遊性のある街づくりをするべきだと思う。広域の自治体は、例外的に核が2つ以上ある場合もあるかもしれない。しかし、それは、あくまでも核が複数ある方が地域の発展につながる場合だけだ。