
(2025/05/29更新)
消費税減税や給付金の問題になるとすぐに財源論を持ち出す人がいるが、やるきになればすぐに使える財源がある。
消費税を廃止せずとも輸出に対する課税を変えるだけで10兆円以上の財源が捻出できる。その方法はとても簡単だ。輸出を免税から非課税に切り換えるだけだ。
現在の輸出取引は消費税では免税事業になっている。輸出事業は国内取引でないという理由で免税扱いになっている。
👉輸出消費税は還付される?輸出免税の仕組みと必要な手続きとは~消費税は国内での商品やサービスなどの提供に対して課される税金です。そのため、商品の輸出や国際運送など、国外を対象とした取引には消費税が課されません。日本の消費税の計算上、輸出取引については免税取引として消費税率を0%とし、消費税が課税されない仕組みが作られています。…免税取引と似たものに、非課税取引と不課税取引があります。…非課税取引のために行った課税仕入れについては、原則としてその仕入れに係る消費税額を控除することはできません。…国への消費税の納付税額は、受け取った消費税から仕入れや経費にかかった消費税を差し引いて算出します。…輸出免税取引については、売上を行った際の消費税を0%とするため消費税がかかりませんので、売上税額は0円となります。一方で、その輸出免税取引を行うのにかかった経費については仕入税額として控除することができます。
消費税が課税されない取引には非課税取引と不課税取引(寄付、贈与、給与等)がある。輸出事業を非課税取引にすれば仕入れに係る消費税額を控除することができなくなるので還付金などというおかしな現象がなくなる。
消費税の基になっている付加価値税はWTOのルールにより禁止されている輸出補助金を回避してフランスが自国の自動車メーカーの輸出を支援する目的で考案されたことを財務省は知っていたはずだから消費税の立法段階で還付金が発生することを分かっていたはずだ。
だから、消費税は還付金とセットで導入されたことになり、結果的に還付金が生じているわけではない。輸出を課税売上の対象としながら国内取引でないという理由で免税扱いにし、仕入れ等に含まれる消費税で国内売上の消費税を相殺し、差額が事業者に還付されるという事実を国会で敢えて議論しなかったのだろう。そして付加価値税という名称を使わずに消費税という名称にしたのは消費者全員が負担する税金だというイメージを横並び意識の強い国民に刷り込むためだったと考えられる。
国民に対しては払い過ぎた消費税を払い戻しているだけだという誤った認識を植え付けたのだから悪質と言える。ばれたらヨーロッパ等で広く実施されている制度だからグローバル競争上やむを得ないという説明をするつもりだったのだろうか。国際ルール違反でもみんながやっているから仕方ないということか。しかし、経済的に最も依存している米国は付加価値税を導入していない。
どう考えても自ら負担していない、他人の負担した税金が還付されるなどということは常識的に考えておかしい。家族の医療費を医療費控除を受けるために確定申告するのとはわけが違う。税務上無関係の他人が払った税金が控除されることに違和感しかない。税務署によっては還付金で赤字になっている税務署があるなどということが制度として健全なはずがない。欠陥税制だ。
インボイス制の導入前に小規模売上事業者の消費税を益税だとしてさんざん非難していた人たちがいたが、輸出比率の高い大企業はインボイス制導入前も導入後も国内販売分の消費税が仕入税額控除で相殺され、いまだに莫大な益税?を懐に入れている。
小規模売上事業者も輸出事業者も同じ免税事業者だ。輸出事業を営むか営まないかで消費税の負担が異なるのは明らかに不公平だ。しかも、消費税は輸出比率が高ければ仕入税額控除で相殺できない国内販売分の消費税が自動的に還付されるというおかしな制度だ。
小規模売上事業者の消費税を益税だして非難していた人たちが輸出比率の高い大企業の国内販売分の消費税と還付金を非難しないのは片手落ちだ。
国民からは見えない仕入控除による消費税の相殺と還付金は政治からの大企業に対する献金や裏金のように映る。国会で正々堂々と議論してほしい。
悪質なのはこうした状況が生じることをわかっていて国会で議論もせずに決定したことだ。役所と政治家の隠ぺい体質を徹底的に糾弾するべきだろう。企業献金は即刻廃止するべきだ。小泉進次郎は国会で献金がなくなれば必要な秘書が雇えなくなり政治活動の質が低下すると主張していたが、献金の有無の前に既に政治家の資質と活動が低レベルなものになっているというのが現実だ。献金で政治活動の質が上がったという証拠はない。逆の証拠は枚挙にいとまがない。
👉「企業・団体献金の禁止」国民民主が賛成すれば実現する…でも維新と立憲民主の「野党一致」提案には冷ややか~同党の小泉進次郎氏は、秘書やスタッフを多く抱えることで「政治活動量が上がる」と反論。(2025/03/12 東京新聞)
しかし、逆読みすれば秘書やスタッフがたくさんいないと僕は政治活動ができませんと言っているように聞こえる。この人は周りの庇護がないと何もできないのだろう。他人に自助努力を求めながら自分は自分を支えてくれる人間がたくさんいないとろくに仕事ができないことを認めているようなものだ。この間の総裁選はそのことを如実に示していた。
献金が政治活動に影響することはないとも言っている。企業は慈善事業の一環として献金したり、天下りを受け入れているのだろうか。献金してもらっても何もしないならそれはそれで詐欺レベルだ。証拠も示さず、説明もできないことをすべて政治活動を免罪符にしていつまでも逃れられると思わないでほしい。
輸出取引を非課税にするだけで消費税の正味税収が10兆円以上増える可能性がある。2023年度の還付金が7兆円以上あったことが判明しているから還付金がなくなれば仕入に含まれる消費税の控除で相殺された国内取引の消費税収入も入ってくることことになる。
輸出取引を非課税項目に追加するだけだから手続きも国会での審議も時間はかからないはずだ。非課税に反対すれば政党や議員の立ち位置が国民に明確になる。選挙で非課税に反対した議員に投票しないだけで次の国会で法案を通すことが可能になるだろう。
無論、輸出事業者への影響は甚大なので経過措置は必要だろう。
還付金がなくなれば今の消費税は必要なくなる。消費税に代わる新しいシンプルで低税率の免税措置の必要ない売上取引税を創設するべきだと思う。
新しい売上取引税の移行のイメージは次のように考えられる。
1. 消費税の輸出取引の非課税取引への変更~実施時期は輸出事業者への影響を考慮
2. 輸出取引を非課税とすることで増える税収を財源として早急な国民への給付金配布、能登半島の被災者への支援と早期復興のための集中的資金投入を前倒しで実施
3. 輸出取引の非課税後に消費税を廃止して新しい公平で公正な税制に移行
消費税はもともと輸出事業者への消費税収入の所得移転を目的にした不公平で不公正な税制だ。国民に転嫁された税金を輸出事業者に還付するというしくみは許されるはずがない。輸出戻し税でピンハネされた残りの消費税のどのくらいが社会保障費に充当されているのかは誰にもわからない。財務省ですらわからないはずだ。特別会計に計上せず、一般会計に他の税収と一緒に計上されているからだ。わかっているのは支出に占める社会保障費のウェートが大きいいう事実だけだ。
そもそも法人税だって社会保障費の財源になっていないとすら言えない。消費税が社会保障費の財源だということは証明できないように法人税が社会保障費の財源となっていないことを証明することはできない。だから、消費税だけ社会保障費の財源という説明は破綻している。
新しい税制は仕入控除だけでなく、売上としても計上できない預り金方式にするべきだ。売上でも費用でもないから会計上の損益には関係しない。資産として貸借対照表に載るだけだ。計上方法は勘定科目が預り金になるだけで消費税の税抜経理方式の会計処理と変わらない。
👉消費税などの税金は決算書のどこに反映される? | クラウド会計ソフト マネーフォワード
徴収した売上取引税は徴収した瞬間に国に対する預り金となり、事業者は資金化された売上取引税を現在の消費税のインボイス登録番号に紐づいた専用口座に速やかに入金する義務を負う制度としてはどうだろうか。
銀行手数料は無料とし、国が銀行に口座維持管理費を払い、事業者の専用口座から国庫に振替える制度にすれば、徴収コストが抑えられるはずだ。
事業者は徴収して資金化された売上取引税を翌月末までに専用アプリ等により国に電子的に申告するとともに売上取引税を専用口座に入金し、国は翌々月末に専用口座から振替える制度にしてはどうだろうか。
売上の取り消し等による過剰徴収分は翌月の申告で減額し、専用口座への入金額を調整する方式にすれば納税者も税務署も税務処理負担が軽減されることだろう。
こうした制度になれば、国民の消費動向を迅速に把握することができるようになり、景気予測の精度も上がるはずだ。
👉石破茂首相、消費税ゼロは「1年かかる」発言に小売店は「一晩でできる」即バレの“言い訳”に国民の怒り爆発 | 週刊女性PRIME
防衛オタクの石破首相は、消費税を防衛費の財源にもしたいのではないだろうか。であれば社会保障費はますます削減される可能性がある。社会保障費の削減と社会保険料の値上げという構造改革により防衛費に充当できる予算が増えることになるからだ。
前述のように法人税が社会保障費の財源でないということが言えないように消費税が防衛費の財源となっていないことを証明することはできない。経営者や新自由主義者は社会保障を減らせとは主張するが、なぜか防衛費の増額には反対しない。経団連は自分たちの損得だけで動いているだけの身勝手集団だ。彼らにとって国民生活の安定より消費税増税や防衛費予算増の方がお金になるからだ。新自由主義とは、結局、金儲けのための道具にすぎないのだろう。
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