(2020/09/05 更新)
メモリの増設で体感スピードの大幅な向上が実感できるのは、2GBから4GBに増設したときくらいではないだろうか。それは2GBではデータ転送量があまりにも少ないからだろう。
インターネットの回線速度が速くてもデータを取り込んで処理する速度が遅ければ、画面に表示されるまでに時間がかかることは容易に想像できる。メールやチャットで文字だけのデータのやり取りをするだけなら問題ないかもしれないが、実際に2GB以下のメモリ容量だといらいらする。
回線速度の向上により大量のデータを低コストで簡単にやり取りできる時代になって画像データが頻繁にやり取りされるようになり、メモリが少ないとPCの性能を生かせないのが現実だ。
一般的にビデオ編集作業やゲームをしないなら、8GB程度で十分だと言われている。私も実感としてそう思う。その一方でメモリを増やせば、もう少し性能が上がるかもしれないという期待もある。
ところで、メモリを4GB超に増設するためにはPCが64ビットのOSで動いていることが前提だ。32ビットのOSで動いているPCのメモリを8GBに増設してもメモリが認識されない。認識されないどころかフリーズする可能性がある。
👉Windows10 32bitと64bitの違いと確認方法
私が最近まで使っていたRX1という薄型モバイルPCのメモリ容量は1.5GBだった。オンボードで0.5GBが搭載され、空きスロットに1GBまでしか増設できない仕様になっていた。オンボードメモリは1GBがRX1の標準仕様になっているが、前所有者が0.5GBに仕様変更して購入したようだ。標準仕様にしたところでメモリは最大2GBしか搭載できない。
RX1には32ビットのOSが搭載されていたが、64ビットにも対応していたので64ビットのWindows10Proをクリーンインストールしてみた。残念ながら、64ビットのWindows10のシステム要件はメモリ2GBだったので動作が遅くて使い物にならなかった。試しに増設スロットに2GBのメモリを挿してみたら画面が真っ黒になり、フリーズしてしまった。
ちなみに、現在、32ビットのOSが動いているPCでもクリーンインストールならたいていのマシンは64ビットのWindows10に変更可能だ。ただし、エディションは変更できない。つまり、Home版をPro版に変更することはできない。
👉32ビット版Windows10 を64ビット版に変更するときの手順と注意点: パソコンを便利に!!
デュアルチャネルのメリット
ノートPCには通常、2つのメモリスロットが用意されているが、機種によっては、メモリスロットが1つしかないものもある。その場合は、メモリスロットの他にオンボードでメモリが搭載されているケースが多い。ただし、最近の薄型ノートPCではオンボードのメモリしか搭載されていない製品が増えている。
このタイプのPCは後からメモリの増設ができない。だから、オンボードで4GBしか積んでいないPCを購入するときは用途を十分考えておく必要がある。携帯に便利なようにノートPCは薄く軽くなっているが、それに比例して部品を実装する空間が狭くなっているための仕様だ。
メモリだけでなく、バッテリーもユーザーが交換できない製品が増えている。軽量化のためにPCは薄く、小さくなっており、スマホやタブレットをユーザーが分解するのが難しいことを考えれば自然の流れなのかもしれない。
増設スロットが1つしかない製品には、オンボードでなく、別にもう一つ隠れメモリスロットがあるものもある。たいていのPCはユーザーがメモリ増設のためにメモリスロットにアクセスしやすいようにPCの底面にネジ1本で開閉可能な専用カバーが用意されているものが多いが、中にはPCを分解しないと第1スロットにアクセスできないものがある。
メモリは4GBの場合は2GB×2、8GBの場合は4GB×2、16GBの場合は8GB×2にするのがおすすめとなっている。1つのスロットに1枚のメモリを挿すより、2つのスロットに分けてメモリを挿した場合の方が、データの転送量が増えて結果的に処理が速くなるからだ。
1枚挿しのことをシングルチャネルと呼び、2枚挿し(オンボード+1スロットでもOK)のことをデュアルチャネルと呼ぶ。道路は車線が多い程たくさんの車を走らすことができるが、メモリのデータも2つのチャネルにした方がたくさんのデータを流すことができるという理屈だ。
ただし、デュアルチャネルには2つのメモリの容量と規格が同一でなければならないというルールがある。相性問題を考慮しなければ、メーカーが異なっても構わない。基本的にメモリの相性は実際にやってみないとわからない。このため、販売店によっては相性保証をつけて販売しているところもある。もし、うまく動かなかったら別の商品と交換しましょうという販売方法だ。
ここで2GB+4GBの組み合わせだったらどうなるのかという疑問が湧く。答えは2つのメモリの2GB部分がデュアルチャネルとして動くということになる。クロック数の違いがある場合は低い方のクロック数になる。また、マザーボードの仕様が通常電圧版であれば低電圧版のメモリは通常電圧でも動作するので2つのメモリが混在しても問題ないが、マザーボードの仕様が低電圧版の場合は混在不可となる。
デュアルチャネルがおすすめだと言いながら、PCメーカーは2GB×2、4GB×2、8GB×2以外のメモリ構成を仕様書に載せている。例えば、2GB+4GB、2GB+8GB、4GB+8GB、4GB+16GBという組合せが選べるメーカーもある。
これは、たいてい一つのメモリがオンボードのためなのだろう。オンボードメモリは交換できないため、デュアルチャネルでのデータ転送量はオンボードメモリの容量に左右される。従って、オンボードの場合、最適なデュアルチャネルの組み合わせは1つしかないことになる。
これもノートPCの薄型化により生じた現象なのだろう。であれば、ノートPCを買う前にCPUだけでなくメモリ構成についても十分考えておく必要がある。自分の利用方法に合わせてCPUの性能とメモリ容量を決めてからノートPCを購入するべきだろう。
自分に合ったノートPCを選ぶ
ひとつの製品を長く使い続けたいのか、買い替えを前提にするのかで購入するPCが変わるはずだ。高額な商品なので衝動買いはやめた方が無難だ。先のことが考えられないと言うなら、とりあえず、今、自分がしたい作業に見合った安い中古PCを購入するという選択もある。
正直なところメモリの容量については、私も迷うところがある。8GBあれば十分だと言いながら、少しでも快適になるならもう少し多い方がいいのではとも考える
そして、下記の記事をネットで見つけた。ちょっと迷いが吹っ切れた気がした。メモリも随分と安くなっているので、とりあえずは16GBを私の理想としたい。
PCの中にはメーカー公表値以上の容量に増設することが可能なものもあるが、私の経験ではやめた方が無難なように思う。
レッツノートNX2のメインメモリは仕様では最大8GBと記載されているが、私は12GBに増設して使っていた。しかし、PCを分解すれば16GBまで増設可能というブログを読んで16GBに増設してみた。メモリはちゃんと認識されていたが、なぜかCPUの温度が90度近くまで上昇したので慌てて元に戻した。
12GBのときは問題なかったのでマザーボードの裏の隠れスロットのメモリ交換が原因だったようだ。再度、分解してマザーボードを外して隠れスロットのメモリを4GBに戻した。安易な挑戦はリスクがあるが、いい勉強になった。
CPUやメモリのメーカーの提供する仕様は、PCメーカーの開発の指標にすぎないようだということを今回のPC改造計画の経験で感じている。同じ部品を使っても組合せや筐体の設計でPCの出来がかなり違ってくるように感じた。
つづく