<2020/05/15更新>
せっかく、一生懸命に努力して言語を習得してもその言語が使われている国で実際に生活しなければ本当の語学力は身につかないのではないだろうか。母国語として使っている人たちが使わない表現は文法的に正しくても海外では通用しない。
日常会話レベルでは下手な英語でも構わないと思うが、国や企業が公式の場で使う英語は英語を母国語とする人たちに意味がきちんと伝わる違和感のないレベルが必要だと思う。
アマゾンの口コミ評価でよく見かけるおかしな日本語に接するとその商品が実際には優れたものだとしても信用して買う気になるだろうか。
信用に影響する国や企業の英語の文書はナチュラルスピーカーや優秀な翻訳者のチェックを受けてから公開するべきだろうと思う。安易に機械翻訳に頼るとコストの見返りに大切な信用を失うことになる。
高い専門知識を持った外国人でもひどいレベルの日本語でしゃべっているのを聞くと話している内容より、聞き苦しさが邪魔にして怪しい外国人という印象を抱いてしまうことがある。
裏を返せば、海外で生活したことがない日本人が使う英語も海外の人から見ればおかしな英語の域を出ていないのではないだろうか。お互い様なのだろう。謙虚に自分たちの使う英語のレベルを受け入れるべきだろう。
信用に係わる大切な場面では、例え、語学に自信があっても謙虚に優秀な翻訳者を利用するべきだと思う。優秀な翻訳者とは、単にナチュラルスピーカーのような語学力があるだけでなく、その分野の専門知識を持っていて正しく相手にこちらの意図を伝えることができる人でなければならないと思う。
翻訳者の英語が英語らしい出来上がりでも依頼者の意図したものでなけれ意味がない。依頼者は内容が自分の意図したものになっているかどうかチェックする手立てが必要になる。専門知識を持った別のナチュラルスピーカーに精査してもらい、違和感や彼らが使わない表現がないかアドバイスを受けるべきだと思う。
👉「とにかくプリーズを付ければ丁寧になる」と思ったら大間違いだ 英語話者に対してはすごく失礼
社内の公用語を英語にしているおかしな企業があるが、日本人同士でのやり取りが和製英語になっている可能性が高い。英語を母国語にしている人たちに通じない英語に意味があるのだろうか。
グローバル化というのは文明なのだろう。英語も文明なのだろう。文明は多くの人が利用することで広まる。日本語は特定の地域の人が利用する文化なのだろう。文明は利便性が薄れれば廃れていく。文化は利便性に意味があるのではなく、人間のアイデンティティだから人間は文化の継承にこだわるのだと思う。
日本人にとって英語は他の文化圏の人とコミュニケーションのための道具にすぎない。道具を公用語にする愚かしさ。仮に英語を日本の公用語にしてもそれはどこまで行っても和製英語の域を出ないだろう。せいぜい、”方言”止まりだろう。
英語はあくまで対外的な発信の道具に過ぎない。読む対象は海外の人々だということを忘れてはならない。逆に言えば、国民に正しい情報を伝えるためには正しい日本語で情報公開するべきだ。TPPの条文が翻訳でない日本語で作成されなかったのは国民に正しく理解されると困ると考えたからだろう。
☆競技に興奮すると部屋に閉じ込められる? 東京五輪、競技場の不自然な英語「混乱招く」と懸念の声~「Calm down, cool down」「HELLO, OUR STADIUM」ーー東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる国立競技場を巡り、場内にあった英語表記の案内板などが「奇妙で意味不明だ」との声が上がっている。海外メディアの記者や英語が母国語の識者がSNSに相次いで投稿。「日本が笑いものにされるだけでなく、混乱を招く恐れがある」と懸念する意見も出ている。(共同通信=松本鉄兵)…「Calm down, cool down」は誤解を招きかねないと問題視するのは、異文化コミュニケーションが専門の鳥飼玖美子・立教大名誉教授だ。「命令形で『落ち着け』と言っている。失礼な印象を受ける」と話す。日本では、競技を見に来て興奮すると部屋に閉じ込められるのかと、意図しない形で解釈される恐れもあると言う。「文法的に間違っていないだけにより深刻だ」。…外国語表記を考える際、プロ翻訳者のチェックを経ていなかったり機械翻訳に頼り切ったりしているのが原因ではないかと推測する。不正確な英訳が話題になったケースは過去にもあった。大阪市の地下鉄を運行する大阪メトロでは昨年、公式サイトの外国語ページに、路線名の「堺筋」を「Sakai muscle」(堺 筋肉)とする誤った英訳を掲載していたことが判明。また「3両目」を「3 Eyes」、駅名の「天下茶屋」を「World Teahouse」と表記していた。自動翻訳ソフトが原因だった。 (2020/02/24 全国新聞ネット)