日本の組織は老害でどんどん劣化している。最大の好事例?は安倍政権。言いたい放題の麻生太郎副総理は御年77歳(9月に78歳になる!)。
そして小泉進次郎が頭の上がらない自民党の二階俊博幹事長は79歳。
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読売新聞の「73歳定年にNO!自民ベテラン議員が反旗」(2017年2月27日)という記事は興味深い。
記事は「党内の73歳以上の議員を見ると、『党内働き盛り』の大物幹部がズラリ。組織の活性化には若返りが求められる一方、生涯現役社会を作っていくことは、高齢化が急速に進む日本の課題でもある。永田町の長老たちの反発は、日本社会のお年寄り活用につながるのか。」という切り口で始まっている。
その中には「日本老年学会などが、高齢者の定義を65歳から75歳に引き上げるように提言したのも、ベテラン議員には追い風となっている。」という件があるが、そもそもこの提言は膨らむ社会保障費(年金)対策という文脈から出てきたはずだ。
昔と比べものにならない程、現在の老人は元気だから働けるうちはできるだけ長く働いて年金の受給を遅らせて欲しいというのが国の本心だ。しかし、高齢者の平均体力は上がっているかもしれないが、個人差は大きい。
とりわけ、体のケアを怠って働き続けた人は年齢以上に体力が衰えているのが現実だ。誰しも60過ぎれば体のあちこちに不具合が出てきて若いときにできていたことができなくなるのが一般的だ。だから、60を過ぎた人間に現役並みの活躍を期待することはもともと無理がある。
会社の経営層として働くのと現場で現役として働くのでは、労働寿命に大きな差がある。高齢になっても長く働いているのは自分の裁量で働ける自営業の人や経営者が中心だ。経営者は仕事の中では重要な決断を求められるが、報酬が高く、拘束時間も短く、体をケアする時間とお金があるから長く続けられる。
経営者は高額の報酬に比例して高い判断能力と責任が求められなければならないはずだ。しかし、現実は判断ミスで経営危機に陥っても責任を部下や従業員に転嫁して保身を図り、経営層に居座る輩ばかりのように思う。
一言で言って潔くない。たいてい醜い顔つきをしている。権力に執着し、イエスマンを周りに集めて人事権を行使して長期政権を敷くことになる。同調圧に弱い日本人は組織が腐敗しても保身から老害政権を下から変える勇気も行動力もない。
そして組織が不祥事を起こしても経営層は責任を取らず、世間が忘れるのを待つ。自分の目の前のことが大切な日本人にはおかしなことをおかしいと声を上げる人に対して冷淡ですらある。自分のこどものことには懸命になるが、いじめで亡くなった他人のこどものことを可哀想とは思っても自分が被害者になるまで無関心ですらある。
それどころかたまたま居合わせた凄惨な事件現場を撮影し、平気でSNSで拡散する人たちが至る所にいる。誰かのために災害情報を伝えるのと悲惨な写真をネットに晒すのは決定的に異なることが分からない度し難い人たちがいる。
人の苦しみに思い至らないろくでなしが一定数いるのが現実だ。だから、安倍政権がこれだけの不祥事を犯しても擁護する人たちがいる。こうした人たちと自分は関係ないと思っているあなたが一番悪いのだということに気づかない。もう傍観者から脱するときが来ている。
前出の記事を書いた読売新聞をいまだに支配している読売グループのドン、渡邉恒雄氏は92歳だ。何とも皮肉な記事だ。ドン、渡邉には定年がなく、生涯現役を貫くつもりなのだろう。人事権を握られれば誰も歯向かえない、歯向かわないのが日本の忖度社会の姿だ。若者までそうした社会を肯定しているように思える。
こうしたドンが日本にはたくさんいる。例えば、最近、アメフトの悪質タックルで注目を集めている日大の田中英壽理事長(71歳)、フジサンケイグループのドン、日枝久氏(80歳)等々。こうした人たちに共通しているのは人事権を握ることで組織を支配しているが、経営責任は負わない点だ。
不祥事や失敗は部下が負うことになり、責任転嫁された人たちは口をつぐんで従順の意を表すことでその後の処遇が約束される。「御意」という保身はバーター(利益誘導)で成り立っている。安倍政権も同じバーター政権だ。バーターの対象は議員だけではない。官庁、自治体、企業そして国民までバーターの対象になっている。そして最大のバーター相手はアメリカだ。バーターを受け入れる人はみんなお友達だ。主義主張すら関係ないようだ。
彼らは表面上、権力の座を降りても院政という道を残して死ぬまで権力にしがみつく。権力にしがみつくのは反対勢力の報復から逃れるための手段なのかもしれない。
小泉進次郎は高齢者をシルバー民主主義と批判しているが、こうした老害については何も言及していない。最近の参院の定数6増を盛り込んだ公職選挙法改正案に反対を唱えていたのに衆院本会議で賛成票を投じてブーイングを受けると「これは光栄ですね。いろんな議員が賛成票を投じた中で、私だけにブーイングをしてくれるというのは、名誉あるブーイングだと思います」と応じている。
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「私だけにブーイングをしてくれる」というフレーズは思わず本音が出ているように思う。なぜ自分だけを非難するのだ。不公平だろうとでも思ったのだろう。信念を貫くという考えはないようだ。
無論、自分の考えが間違っていたので方針を変えたのならそれはそれで一つの選択だったかもしれないが、賛成票は党の決定に従った結果だとして「改めて、『国会は変えなければいけない』という思いを込めた」というのは詭弁そのものだろう。これも嘘と非難されても仕方ないと思う。
組織が決めたら従うというのはサラリーマンそのものだ。決定には何でも従うというのは日本の封建社会の悪習に他ならない。彼の発言はいつもガス抜きにすぎないように思う。“サラリーマン”を辞める気のない進次郎に国民は何を期待しているのだろうか。
石破氏と取り組んだ地方創生政策のプレミアム商品券はバラマキでないと主張したが、結果はバラマキに過ぎなかったことは地方の惨状を見れば明らかだ。TPP法案でも農業改革を主張していたが、TPP対策としてバラまかれた農業予算の効果を検証したのだろうか。
参院選前に高齢者に1人3万円を配った「臨時給付金」についても結局、批判だけで終わっている。地方議員が厚生年金に加入できるようにする関連法案もいずれ国会で強行採決される日が来るのではないだろうか。「小泉氏は会合後、記者団に『地方議員だけ厚生年金を復活させるというのは、国民の理解を到底得ることはできない』と指摘」したと報じられているが、最終的には党が決めたことには従うということになるのだろう。彼の本心は自民党を守りたいだけなのではないだろうか。
♦地方議員年金復活、小泉氏が反対=「国民の理解得られぬ」-自民部会(2018/4/13 時事ドットコム)
👉政調改革へ実行本部 小泉進次郎氏「自民党が強いのは良いこと」
「国民をなめてはいけない」と言って反対していた6増法案に賛成したくらいだから地方議員年金復活法案について「国民の理解得られぬ」というより軽い発言を信用できる理由がない。結局、国民の理解というのは自民党体制の維持をするための有権者の支持という文脈に過ぎないのだろう。なめたマネをされた有権者は怒るべきだ。普段、進次郎は言葉の大切さを強調しているが、若者に嘘を言ってはいけない。
財務省の不祥事で空席となっていた財務省幹部の人事で麻生氏が相変わらず上から目線で記者の質問に答えている姿がテレビで報じられていた。真摯、謙虚という姿勢は全く感じられない傲慢高齢者の代表者のようだ。一番悪いのはそれでも麻生氏に票を投じる地元の有権者なのかもしれない。選挙は免罪符なのだろう。
財務省は文書改ざん問題で安倍政権を庇う「御意」の見返りとしてその後の処遇を約束されていたのだろう。空席の時間はほとぼりが冷めるのを待っていただけなのだろう。忘れっぽい国民は本当に御しやすい。なめられたものだ。
日本人は結局、若者から老人まで公平、公正より自分たちの経済的利益が大切なのだろう。かくして老害大国日本は続く。 おしまい
(追記)進次郎は何者か
結局のところ進次郎は長い物には巻かれろ、寄らば大樹の陰、賢い若者に共通する安定志向なのだろう。しかし、それを世間では保身の術と呼んでいる。船田元は6増法案の採決の前日に「身を切る改革を約束して進める消費税引き上げを前に、定数増は国民に理解されない」と理由を説明して採決直前に退席して宣言通り棄権している。
今回の6増法案に進次郎が船田氏と同じように棄権するか、反対票を投じても与党は衆参ともに絶対的多数を形成しているのだから採決の結果には何も影響しない。なのに前言をいとも簡単に翻す人間を国民は信用できるだろうか。しかも「私だけにブーイングをしてくれる」という発言は人間の出来の悪さを証明してしまったようなものだ。父親のような他人は他人、自分は自分という信念が感じられない。
進次郎は6増法案について「国民をなめてはいけない」という船田氏より強い主張をしたはずなのに賛成に回って居直りのような発言をしている。相変わらず言語明瞭意志不明だ。言うは易く行うは難しを地で行くような言動ばかりのように思う。提案している政策も規制緩和おたくみたいなものばかりだ。
私は進次郎が登場したときは結構、期待していた。しかし、TPPやドローン等の規制緩和にのめり込む姿に疑問を感じていた。それまでは小泉元首相の血を引く強い意志の持ち主なのかと思っていたが、父のマネはできないという発言が本心だったことが分かった。
小泉元首相もそのことが分かっているから進次郎は進次郎の考え方でやればいいと言っているのだろう。息子は息子というのは親ばかを自認している小泉元首相が息子を庇うための発言なのだろうと最近は感じている。
私はこれまで進次郎の経歴に関心を持っていなかったが、これだけ世間からの人気が高い政治家の学生時代のエピソードや留学時代の情報が全然ないことに最近、不思議に思っている。一流とは言えないエスカレータ式の大学からどうして名門のコロンビア大学大学院で修士号を取得することができたのだろうか。
成績は優秀だったのだろうか。安倍総理と違って英語は堪能なのだろうか。TPPにあれだけ執心するからには日本語の条文が作成されていないTPPを英文で読み通したのだろうかという疑問を抱いている。文春砲でその辺のところを明らかにして欲しいと思っている。
TPPの関連でいえば、7月5日、水道事業の運営権を民間に売却できる仕組みを導入することなどが盛り込まれた水道法の改正案の採決が衆院本会議で行われている。
TPPの本質的な問題は関税の引き下げや撤廃ではない。一番の問題は非関税障壁の撤廃の問題だ。水道事業も非関税障壁問題の一つだ。水道事業が民営化されて海外の水メジャーが参入したときに問題が生じてもTPPが発効していればISD条項の発動が障害になり、水道事業を公営に戻すことが出来なくなる可能性がある。
CSISには「小泉純一郎が次男の小泉進次郎を、渡辺恒三が長男の渡辺恒雄を送り込んでいる。」そうだから進次郎の規制緩和の主張と無関係ではないと思われる。
ここで参議院の6増法案の話題に戻る。これからの少子高齢化による人口減少で自治体の人口格差が進むことが明らかであるから小選挙区制を続ける限り、それぞれの県から代表を出すことを前提にした公平は持続できない。
そもそも参議院は良識の府とされ、地域でなく国の代表を選ぶことが前提のはず。であれば、道州制(道州制自体には反対)の区分のようなブロック単位で選挙を行う方式に改めたらどうなのだろうか。
小泉進次郎も地元でのあいさつ回りを重視する守旧派の古い政治家と変わらない活動を展開している。改革を訴えながら「バカになる仕組み」から抜け出せないでいる。その原因が小選挙区だと分かっているのになぜ制度論を国会で議論しないのだろうか。やはり、同調圧に弱い人間なのだろうと思わずにいられない。
(追記2)<毎日新聞調査>参院6増評価せず67%
安倍内閣の支持率は37%で、6月の前回調査の36%からほぼ横ばい。不支持率は44%で前回の40%から4ポイント上昇した。5カ月連続で不支持が支持を上回った。…「支持政党はない」と答えた無党派層のうち71%がこの法改正(6増法案)を「評価しない」と答え、自民支持層も「評価しない」が60%。有権者の理解は広がっておらず、来夏の参院選に向けて批判がくすぶりそうだ。一方、死者200人を超える大きな被害を出した西日本豪雨については、政府の対応が「十分ではない」と答えた人が68%に上り、「十分だ」は20%だった。自民支持層でも54%が「十分ではない」と回答した。主な政党の支持率は、自民党30%▽立憲民主党10%▽共産党4%▽公明党2%▽日本維新の会2%▽国民民主党1%--など。無党派層は42%だった。(2018/7/29 毎日新聞)
👉炎上居酒屋「赤坂自民亭」各紙読み比べで見えてきた「ギョッとする事態」振り返っておきたいあの「会合」をめぐる報道(2018/7/20 文春オンライン)
(追記3)ボクシング界も老害を告発