集団的自衛権を考えるために
このテーマにつては、伊勢崎賢治氏の著書「日本人は人を殺しに行くのか(戦場からの集団的自衛権入門)」を基にした。
私は、実社会の中でいつも実務ということにこだわっている。それは、人は実際の業務の中で培った経験と知識からしか成長できないと考えているからだ。業務が営利目的か非営利かは問わない。また、個人か、企業内での仕事かどうかも問わない。
要は、仕事として携わっているときに身に着いた知識やノウハウ等の知見だけが世の中で本当に役立つものだと私は思っている。そうして実務として得た知見こそ問題を解決するのに役立つと考えている。だから単なる物知りは役立たないとも思っている。
伊勢崎氏は、実際に国連平和維持軍で仕事をし、実務に通じているのでその知見の基に集団的自衛権とは、何なのかを考えるのが一番いいだろうと私は考えた。
集団的自衛権と集団安全保障の違い
集団的自衛権は、第二次世界大戦後に戦勝国(アメリカ合衆国、イギリス、ソビエト連邦、中華民国などの連合国)が中心となって設立した国際連合(以下、国連)の国際憲章で初めて規定されたもので、その歴史は比較的浅いものだということを知った。
他国からの侵略行為があった場合、国連の安全保障理事会(以下、安保理)が許可したときに、加盟国は団結して武力行使を行うことができるしくみになっている。これが「国連的措置」(集団安全保障)だそうだ。
集団という言葉が付いているが、これは、集団的自衛権とは異なる。安保理が「国連的措置」(集団安全保障)の決定をするまでの経過的措置の一つが集団的自衛権だ。あくまで経過的措置として集団的自衛権と個別的自衛権が固有の権利として加盟国に認められている。(国連憲章第51条)
国連と聞くと、何か崇高な目的を持った国際的な組織というプラスのイメージを抱く人が多いように思う。しかし、実態は、第二次世界大戦の戦勝5か国が拒否権を持つ常任理事国が中心となった利害関係集団にすぎない。
だから、集団安全保障の決定は常任理事国5か国の利害を抜きにして決まらない。集団的自衛権はそれを回避するために考えられた措置だ。確かに安保理の決定を待っていられない事態は想定されるが、実際は、同盟(国連とは別のNATOなどの軍事同盟)国の国益のために集団的自衛権が行使されているのが現実のようだ。(その典型がイラク戦争)
個別的自衛権は、国連憲章以前から存在した概念だという。自国が攻撃されたら反撃するという行為は、生存権の観点から国民には受け入れやすい概念のように思う。
一方、集団的自衛権は、自国が攻撃されていなくても軍事同盟国が攻撃されたらいっしょになって攻撃するということだから、巻き添え戦争とも考えられる。場合によると同盟国の国益のために不条理な戦争に加担するリスクがある。どうもイラク戦争は、その典型だったようだ。
著者によれば、『国際的なオリジナルの集団的自衛権の考え方は、「ご近所が攻撃された時、その攻撃が自国にも及ぶ可能性が高い時に限って行使していいもの」というニュアンスです。』ということだ。
そして『日本政府の解釈は、「ご近所は関係なく、その国の攻撃がこっちに飛び火しそうでなくても加勢する権利」みたいになっています。』とも指摘している。
著者の指摘の中で私が最も重要だと感じたのは次の二つ記述だ。
「ここで気をつけなければいけないのは、集団安全保障とは本来、国連が行う措置であり、集団的自衛権という権利とは完全に別のものということです。」
『「国連的措置」―特にPKOの活動など―は清らかなイメージを付随させやすいものです。そのため、あえて「集団安全保障」という日本語訳を使い、「集団的自衛権」と混乱させることで、その行使の禁止の箍をはずしてしまおう、と考えている勢力がいるのではないかと、私は思っているのですが…』
国連的措置の中身
PKOとは何なのか。著者は「PKOとは、武力紛争再発防止のための国連安保理の決議のもと国連が行う、停戦監視や選挙監視、復興援助などの活動です。この中には、軍事的な力を必要とする、交戦中の部隊の引き離しや、治安回復を行うための活動のほかに、停戦を確保するための監視活動などが含まれています。この活動を行うのが、国連加盟各国が軍を出し合い組織している国連平和維持軍(PKF)です。」と説明している。
また、国連的措置についてはPKOの他に「あるA国を、ならず者国家X国が攻めている時、安保理が決議して、A国がお友達国家(同盟国)と結託してX国に反撃する、というものもあります。本来、国連軍があれば国連軍が反撃に出るでしょうが、現在は国連軍がないため、結局、有志連合が反撃にでます。有志連合とはNATO(北大西洋条約機構)などです。」という活動があると説明している。
捏造された情報で開始された戦争
2003年のイラク戦争は、始めは国連的措置ではなく、NATO同盟国をも二分した集団的自衛権の行使として開始された。「その正当性自体が捏造された情報によるものであった上に、国際法上禁じられている予防的先制攻撃によって始まったもの」だ。
「イラクが保有しているはずの大量破壊兵器の存在」が、「ブッシュ政権の捏造だったことがアメリカ自身の調査とメディアによって」明らかにされている。
集団的自衛権を日米同盟を根拠として行使することは、こうした取り返しのつかない過ちに加担するリスクが増大することになる。
そのとき誰が責任を取るのか、安保法制を支持する国民に問いたい。A+B=Cという程、集団的自衛権は単純な問題ではない。こうしたリスクまで考えて安倍首相の言う「血の同盟」に賛成するのだろうか。
ちなみに、湾岸戦争でも「15歳の少女の涙の捏造」事件、「ナイラの証言」により「アメリカ国民自体が、まんまとプロパガンダに乗せれられていたという有名な話」があることを著者は指摘している。
政府は信頼できないというのが現実だと思う。「それでも安保法制や憲法改正に賛成しますか」と私は、国民に問いたい。日米関係を理由に今後も政府は嘘をつくことになるだろう。
安倍政権の世論操縦術
昨年の安保法案の強行採決で政府のやり方に多くの国民が怒りを感じ、政府に対する国民の不信感は増大した結果、このとき安倍政権に対する支持率は大きく下がった。
しかし、その後の他人事のような安倍総理の戦後70年談話を従来のおわび談話が引き継がれたと勘違いしている国民もいるのが現実だ。そして昨年12月の突然の慰安婦問題をめぐる日韓合意の演出で戦後70年談話を上書きすることで外交成果をアピールした。
戦後70年談話の中の「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を背負わせる訳にはいかない。」というフレーズを「今回の合意はその決意を実行に移すために決断したものだ」と強調してみせた。
👉安倍首相「慰安婦」日韓合意「謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかない」
その後の各紙の世論調査で多くの国民が日韓合意を評価する一方で、日韓の関係は変わらないと回答していた。戦後70年談話と日韓合意は、安保法案の強行採決で盛り上がった国民の怒りを鎮めるための鎮静剤だったのだろう。臨時国会を翌年に先送りしたのも国民の怒りを鎮静させるための戦略だったことは明白だ。
👉慰安婦問題の日韓合意、韓国の20・30代の7割が「よくない」(調査結果)
👉悪夢再来!? 慰安婦問題巡る「日韓合意」が白紙に戻る可能性わずか半年。韓国内で「見直し論」が急浮上
その後も安保法制について国民の理解を深めるための政府の説明は、今日現在まで行われないまま参院選が一昨日、公示された。
与党は、特定機密保護法のときと同じように国民は、時間が経てば忘れると思っている。今度の参院選は、そういう意味では国民の民度が試されているのかもしれない。国民がニワトリと同じように3歩あるけば忘れる情けない国民なのかがもうじきわかる。
👉安保法成立、「国民はやがて忘れる」永田町伝説が崩れ去る日を
福島の原発事故で官僚が、道路を渡りだしたら引き返せないネコのような愚かもの集団だということが証明され、地元という名のエゴがそれを支えている。
国は決して責任を取らない
何かあれば国が責任を取ることを条件に原発の再稼働に賛成する利己的な地元という名の権益集団がいる。車に轢かれるのは私たち国民だ。それまで地元は、希望的観測の中に閉じこもっていることだろう。
しかし、福島の原発事故から5年経っても事故原因の解明も福島原発の汚染水の流出防止も進んでいない。それなのに原子力規制委員会の再稼働容認だけが粛々と進んでいる。無責任な政治家と官僚を自分の身の回りのことしか関心を持とうとしない愚かな人々がそれを支えている。
国がつくる委員会は、どんな委員会も政府や官僚が責任を取らないために設置されている。国も自治体も官僚も、そして原子力規制委員会すら責任は取らないことはもう周知の事実だ。
しかし、一番悪いのは、選挙で正しい選択をすればこうした悪弊を変えることができるのにしがらみや自分たちの地元の利益に誘導されている人々だろう。私は、今後、原発を再稼働して事故が起こったときは、地元という名の人々に同情することはないだろうと思う。
官僚の本心は、事故のリスクをわかっていて補償金や交付金を受け取ったのだから地元に当然、自己責任があると思っているはずだ。(官僚は)自分たちが誤って誘導したとは金輪際考えない自己合理化人間だ。そして、必ず自分たちが責任を取らないように法律を作り、制度を運用する。こうした官僚の姿が「東京ブラックアウト」で描かれている。
国が責任を取らないことを暗黙の了解の上で原発の再稼働を承認するのだから地元という名の人々は、今後、事故が起こったときは、自分たちに責任のないことを証明する義務があると私は思う。原発の危険性を知らなかったという言い訳はもはや通用しない。原子力規制委員会は、安全性を担保しないとはっきり言っている。
安保法制についても同じ文脈で考えるべきだ。安倍首相は、国民の安全を守るために必要な法制だと断言している。自分たちの責任問題を嫌う官僚は、間違いなく結果責任を誰も取らないように法律を作っているはずだ。
目先の経済政策や雇用対策で安倍政権に投票しても明るい未来が待っているわけではないという真実を国民は認識するべきだ。原発政策を見るだけで、その政策が刹那的でとりあえず、今だけ取り繕えればいいという安倍首相と官邸スタッフの考えがわかる。
日本の将来などということを真剣に考えていないことは、社会の持続性のために必要な構造改革(税制改革、国家公務員の適正な処遇等々)に何も手が付けられていないことが証明している。
シルバー民主主義は関係ない
私は、現在、マスコミや小泉進次郎氏が熱心に主張しているシルバー民主主義は関係ないと思っている。老人の中にも若者の将来を真剣に憂慮している人々もいる。老齢人口が増えて少子化が進むからシルバー民衆主義だという短絡的な考えには賛成できない。老人を非難するのではなく、老人を説得できるような若者のための政策を国民に提示してみろと言いたい。
シルバー民主主義とは関係なく、老人が増えれば医療費や年金負担が増大するのは当然の帰結だ。その問題にどう対応するか考えるのが政治家の役目だろう。進次郎氏は、今の老人は元気で老人はいないという論旨で国民は死ぬまで働けばいいと言っているようだ。自分もやがて老人なり、今の若者もいつか通る道だということを忘れている。
ガス抜き進次郎
彼は、公共投資の削減を主張していたはずだが、安倍総理はさらに財政出動でエンジンを吹かして経済を元気にすると選挙で言っている。進次郎氏は、オリンピックまでは「雑巾がけ」に励むつもりのようだが、残念ながら、もうそんな悠長なことをしている時間がないということがわかっていないように思う。
若者が安心して暮らせるための政策を主張するなら、今すぐにでもそのための努力をするべきだ。進次郎氏は、おそらく具体的な政策を持っていないように思う。ヘイト思想の稲田朋美政調会長に担がれてガス抜き発言や勉強会だけしていれば、いずれ国民から見向きもされなくなるだろう。
進次郎氏はTPP賛成の意思表示はしたが、TPPの関税以外の本当のテーマである、非関税障壁については何も説明しようとしない。安保法制や改憲といった微妙なテーマについても何を考えているのかまったくわからない。
(注)私は、TPPについても憲法改正についても以前は深く考えたことがなかった。しかし、安倍首相になってすべて情報コントロールが行われるようになり、強い不信感を持っている。正直、小泉元首相だったらどうだっただろうかと思う。だから、進次郎氏の問いに対しては、明確に答えられる。安倍首相だから信じられないので安倍政権の政策にはすべて反対だ。進次郎氏こそ安倍首相の政策に賛成なのか、反対なのか明確に答えるべきだ!TPPで一緒に汗を流した甘利大臣の不祥事についてもきちんと自分の考えを説明すべきだ。そうした説明を一切しないあなたは安倍首相より卑劣かもしれない。憲法改正については、自民党の幼稚な憲法改正草案の内容について言及した上で野党攻撃をしてみろと思う。メディアがあなたを持ち上げるのは、国民的人気があるからだけで、あなたを尊敬しているわけではない。メディアは空気を読んでいるだけだ。福島の復興なくしてとあなたは5年前に叫んだが…。言いたいことはたくさんある。
「小泉純一郎 独白」という本の中で著者である常井健一氏は、進次郎氏を「概して言語明瞭、決意不明瞭」と評しているが、私もその通りだと思う。だから、最近は、進次郎氏の発言を聞いてもまたガス抜きをやっているなとしか思わなくなってしまった。
今回の参院選でも自民党候補者の地元に行って事前に調べた情報や方言を使って応援演説を展開するのだろう。話力を高めるために落語を参考にしているようだが、政策よりいかに聴衆の関心を集めるかが進次郎氏にとって大切なようだ。
広島でのオバマ大統領の演説が多くの人の心に響いたのは、演説のうまさ以上に言葉に誠実さを感じたからだと思う。自分が本当に思っていることをどう伝えるかに腐心したからスピーチ原稿のたたき台を別の人間が作成したという事実は問題にならなかったのだと思う。どこかの首相がプロンプターの原稿を読み上げていたのとは大きく違う。
アメリカが核兵器を持っていることが抑止力~基地は関係ない
尖閣諸島のリスクをアメリカ国民が共有してくれるとはとても思えない。そのことは、現在、アメリカで行われている大統領予備選候補のトランプ氏の発言をめぐる報道で明らかになっている。
また、現実にアメリカが他国から攻撃を受ける可能性など皆無なのではないだろうか。かつて、そんな愚行を犯したのは真珠湾攻撃を仕掛けた日本ぐらいではないだろうか。2001年の9.11は、戦争ではなく、テロに過ぎない。
著者は、この9.11を契機として始められたアフガン戦争について『この作戦はそもそも、同時多発テロを「戦争」であると見なしたアメリカが、自国の防衛のための「個別的自衛権」を国際法上の根拠として行った報復攻撃でした。そして、即座にアメリカを含むNATOが「集団的自衛権」を発動させたのです。』と書いている。テロは戦争のための口実にすぎない。
つまり、テロは戦争ではなく、本来、警察が対処すべき問題であり、アメリカでもこうした批判が出ているという。安倍総理は、ことあるごとに「テロに屈しない」と発言するが、テロは「他国からの侵略行為」である戦争ではないから本来、集団的自衛権行使の対象ではない。
日本では過去に既にたくさんのテロが起こっている。古くは「三菱重工爆破事件」、そしてあの地下鉄サリン事件等々のテロが発生している。だからテロを強調して集団的自衛権を正当化しようとするならそれはおかしいと思う。
テロの首謀者が外国人だったら、それを理由に集団的自衛権を行使するのだろうか。「テルアビブ空港乱射事件」は、日本人が起こしたテロだ。しかし、このテロを理由に日本を攻撃するべきだという報道を聞いたことがない。
アメリカは、イラクとアフガニスタンを破壊し、今、また、シリアを破壊しようとしているように思う。日本は、こうした戦争のために国内の基地を提供し、名目はともかくとして米国の戦費の支援等を通じて間接的に既に片棒を担いでいる。そして、とうとう最後の一線を越えようとしている。
👉噴き出す米への憎悪 シリア首都市民「将来さらに暗く」~イラクの首都バグダッドから観光でやってきたというムハンマド・ハサンさん(60)は「米国はイラクで犯した過ちをシリアで繰り返している」と話した。
日米安全保障は、軍事同盟ではなかったから国民は容認してきたのだと思う。しかし、米国の核の傘に入る?ために現実には日本を守るためではなく、米国の海外拠点となっている基地の負担を続けていることに国民はきちんと向き合うべきだと思う。
👉米国のIS空爆作戦が中断 トルコ騒乱で滑走路閉鎖~インジルリク空軍基地は、トルコ政府が昨年7月、米軍が主導する有志連合に使用を許可。IS掃討作戦で極めて重要な拠点になっている。
👉トルコ大統領に軍不満 強権・テロ対策に批判的 ~エルドアン氏のクルド人武装組織への強硬路線が、かえってテロを誘発しているとの不満が軍の一部ではくすぶっていた。
👉国会爆撃・メディア襲撃… 強権に不満、トルコ軍暴発~声明は「立憲的な秩序、民主主義、人権、そして自由を回復し、トルコ国内にもう一度、法の支配を確立するため」と説明した。
基地が抑止力になっているのではなく、アメリカが核兵器を持っているから抑止力になっているのではないだろうか?アメリカが広島と長崎に原発を投下したことが、そしてイラク戦争でイラクを破壊したことが北朝鮮に対する抑止力になっているのではないだろうか。北朝鮮が恐れているのはアメリカであり、だから弾道ミサイルはアメリカに標準が向けられている。
「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の真実
アメリカが後ろについているから尖閣諸島で衝突が起きたら、安心して?自衛隊が前面で対応してくださいというのが、2015年に改定された「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)だそうだ。この問題に関しては、「仮面の日米同盟~米外交機密文書が明かす真実」(春名幹男著)が詳しく分析している。
ちなみにトランプ氏は、アメリカが攻撃を受けても日本はアメリカを守らないのだから日本は全額、駐留経費を負担するべきだと繰り返し発言している。
日本も多額の基地負担をしているのにアメリカは多くの日本国民が関心を持っている尖閣諸島については自衛隊で対処しろとしているのだから、アメリカに対して基地の費用は全額アメリカが負担するべきだと主張してみたらどうだろうか。協定上も、もともとそうなっているそうだ。
しかし、安保法案の説明で安倍首相は、しきりにアメリカが日本を守ってくれるのに日本がアメリカを守らないのはおかしいという発言を繰り返していたことを考えれば、トランプ氏の発言を非難できないのではないだろうか。
尖閣諸島での衝突が集団的自衛権の対象ではないのにアメリカが自国の国益のために起こす戦争には日米同盟を根拠に集団的自衛権に基づき自衛隊を派遣しなければならないなら、日本はまるでアメリカの属国のようだ。
「湾岸戦争のトラウマ」を政治利用した政府と官僚
こうした安倍総理の発言の根拠は、「湾岸戦争のトラウマ」と9.11の同時多発テロでアミテージ米国務副長官が日本政府に対して協力を求めた言葉「Show the flag」だとされているが、この二つとも勘違いであることを著書は指摘している。
後日、ベーカー駐日大使が、この「Show the flag」という言葉の意味を自衛隊を出せと言ったわけではなく、日本がどちらの味方につくかはっきりしなさいと言っただけだと説明している。
「湾岸戦争のトラウマ」は、湾岸戦争の時に日本が130億ドルもの支援をしながら「汗をかかない」批判されたという報道だ。
湾岸戦争は、クウェートに侵攻したイラクを攻撃するために行われた集団的自衛権の行使だ。戦後、クウェートがアメリカの新聞に掲載した感謝広告に日本の名前がなかったことが「湾岸戦争のトラウマ」の元になっている。
しかし、石油王でもあるクウェートの首長は、戦争のときに「サウジの超高級ホテルのスイートルームで優雅な生活を送っていた。」そうだ。戦費支援のための90億ドルのうちクウェートに支払われたのは、日本円で「たったの6億円だったという事実を知らない人が多い。」と著者は指摘している。『石油王にとって6億円程度は「はした金」にすぎないわけだから…』しょうがないことと受け止めるべきだろう。
安倍首相の総理大臣としての資質はとても低いことは、直近のテレビ朝日の党首討論直後に見せたテレビ局批判が示している。私は、この討論番組を見ていたが、自分は直接の質問と関係ないことまで長々と早口にまくしたてておきながらわずか1分収録が遅れたことでフェアじゃないと攻撃する身勝手さに反感すら感じた。日本で最もアンフェアなのはあなただということがわかっていないようだ。
しかし、そんな人を支持する人々が一番悪いのかもしれない。安倍総理を擁護する公明党や大阪維新の党首の発言もとても幼稚だった。まるで聞き分けのない幼児の喧嘩のようだった。
👉安倍首相、報ステに声荒らげ抗議 収録1分伸びて「フェアじゃない」
👉党首討論で山本太郎が安倍首相に「ガリガリ君を政治資金で買った」事実を追及! 安倍は異常に狼狽して逆ギレ~安倍首相は「事実かどうか調べます」と明言した。
いずれにせよ、情報を自分に都合よく加工編集するのが安倍政権の本質のように思う。広島のオバマ大統領の演説も参院選前の支持率上昇を狙ったものであることは明らかだ。伊勢志摩サミットの成果を手柄にして参院選を迎えたかったのだろう。
しかし、忘れっぽい国民は、もう伊勢志摩サミットのことを忘れかけているようだ。安保法制に対する関心が薄まっているように…。
ところで軍事オタクの石破茂地方創生相は『在日米軍は同条約に基づいて「極東における平和と安全」のために駐留しており、「ひたすら日本の防衛のために負担しているのだから、経費は日本が持つべきだ(注 トランプ氏の発言のこと)というのは、条約の内容から論理必然として出てこない」と反論した。』と報じられている。(毎日新聞2016年5月7日付)
日米同盟が「極東における平和と安全」のためなら、安倍首相の「アメリカが日本を守ってくれる」という論理はおかしいのではないだろうか。
中国は、国連の常任理事国だから国連的措置を国連が決定することはあり得ないので、日本が中国と衝突したら米国と共に集団的自衛権?に基づいて自衛隊が中国と戦うのだろうか。
アメリカが動かないのなら、日本は個別的自衛権を発動して戦うだけなのではないだろうか。だから政府の集団的自衛権の説明は、官邸スタッフ(経産省の官僚だろうか?)が考えたレトリックにすぎない。
南スーダンで予定されている駆けつけ警護はPKOの活動の一環なので集団的自衛権とは、まったく関係のない国連的措置だという認識を一般の国民は持っていないように思う。
また、こうした誤解を生む原因は、メディア、とりわけ大手新聞の報道スタンスにあるように思う。南スーダンのPKO活動を安保法制の文脈だけで伝えるため、安保法制=集団的自衛権と多くの国民が誤解しているのだと思う。
👉南スーダン 英独PKO一部退避 計9人、安全確保のため(東京新聞 2016年7月22日 )
👉特集ワイド 続報真相 南スーダンへの自衛隊派遣 空論でなく現実見よ(毎日新聞 2016年9月2日)~PKO部隊のリスクが高まったことに伴い、先進国主導の部隊編成から、紛争国周辺や発展途上国から参加を募る流れも加速しつつある。…「今やほとんどの先進国はPKOに軍を派遣していません。PKOへの貢献は自衛隊を送ることだけじゃないんです。民間や文民警察、他の公務員でだってできる。日本はいいかげん、PKO・国際貢献=自衛隊派遣という凝り固まった考えを捨てるべきです」
暴走する経産省官僚
そして、こうした誤解を生む原因を意図的に作ったのは安倍政権を支えている経産省官僚たちだ。彼らは安全保障法制を11本の一括法案で国会に提出することで争点を混乱させることを狙ったのだろう。こうした目くらましの手口は経産省官僚がよく使う常套手段だ。
経産省OBの古賀茂明氏は著書「国家の暴走~安倍政権の世論操作術」の中で安保法案が一括法案(文中では「束ね法」)として国会に提出されるであろうことを予見していた。かつて経産省のキャリアであった同氏から見れば、こうした策謀も日常的なやり方に過ぎないのだろう。
また現職キャリアが書いた前出の「東京ブラックアウト」は、フィクションの形をとっているが、こうした官僚の実態を生々しく描いている。
私は、若い頃、もう30年以上も前のことだが、経産省(当時は、通産省)の官僚がこうした汚い常套手段を使って予算を獲得し、明らかに成功することのないプロジェクトに多額の税金をつぎ込むのを目の当たりにしたことがある。
彼らはいつもシナリオと想定問答を作って動き、おそらく自分たちが国を動かしていると錯覚していたように思う。そうでなければ、年度末まで3ヶ月しかない初年度の巨額の予算を(予算の執行機関に)書類だけ作らせて事業者に委託費として払うような真似を容認できるはずがない。
彼らは、確信犯だ。予算を使い残すと翌年の予算獲得に影響する実績主義の予算対策としてまだ何もやっていないのにペーパーだけでなんの躊躇もなく税金を使うことができる神経は普通では考えられないことだろう。役所の常識というものはそんなものだと思う。
30前の若造が大企業の副社長を役所に呼びつけることができるのだから、自分の力を過信してしまうのは当然かもしれない。まして、自分の若さで国家プロジェクトを動かしていると思えば勘違いするのは当たり前だろう。
予算を正当化するために作る委員会で居並ぶ、自分の親以上に年の離れた各業界の権威たちの前で堂々と挨拶せねばならない自分に酔いしれるのは当然のように思う。
予算は、執行後に会計検査院の監査が待ち受けているが、それさえもシナリオのひとつに過ぎない。原発再稼働も彼らにとって大切なのは、自分たちは責任を負うことなく、議員や業界関係者を駒としてシナリオ通りいかに動かして省益を維持するかということだ。国民のことより省益が優先する。
しかし、当時ですら役所には行政指導力はなくなっていた。事業者は、自分たちの利益にならない役所からの注文に耳を傾けることは既になかった。
事業者は、役人に対する天下りポストの提供や業界団体を使って足の付かない形の経費援助を行うことで官僚を支援しているが、官僚が自分たちでプロジェクトをコントロールしているというプライドを傷つけるようなことはしない。
おそらく、こうした秩序は、今も脈々として続いているのだろう。そして、こうした仕組みを変えることができるのは、役所で実務を経験し、問題意識を抱いた人々以外にいないのも悲しい現実だ。私たち国民は役所の悪弊を内側から解体する能力のある人々をもっと支援するべきだろう。
安保法制は、安倍首相の思いとは別に陰で自分たちの省益や権益を守るために協力している官僚スタッフや経済界があることを忘れてはならないと思う。そうでなければ経団連が安保法制の成立に賛成するわけがない。
政府は、何をするにも必ず国民のためと言うが、実際には、国民とは無関係なところでそれぞれの思惑の中で事が進められていることを意識するべきだ。政府や官僚に対して私たち国民は性悪説で臨むべきだ。為政者が自分たち国民の方を向いて働いているなどと思うのは妄想にすぎない。
参院選は政権選択のための選挙ではない
今回の参院選の争点は、経済政策でないことは明らかだ。アベノミクスは、憲法改正のための利益誘導政策にすぎない。
現在、与党は衆議院の3分の2以上の議席を確保しており、参議院に対する優先権を使えば、与党は、憲法改正以外の政策はフリーハンドで決めることができる。だから参院選は政権選択のための選挙ではない。
仮に与党が参議院で過半数を割ってねじれ国会になっても衆議院の3分の2以上の議席を確保しているので安倍政権の決められる政治は続く。しかし、憲法改正は、次の参院選までできなくなる。憲法改正に賛成でない限り、敢えて与党系候補に投票する理由はない。
今回の参議院選で与党系に投票すること、もしくは投票所に行かないことは憲法改正に賛成したことになる。決してアベノミクスの信を問うことにはならない。なぜなら、参院選で負けても安倍政権がアベノミクスを止めるという選択肢は残されていないからだ。
安倍政権のこの道は、とても危険な片道キップだ。安保法制で自衛隊の武力行使を伴う海外派兵が実行されれば、防衛費が膨らむのは確実だ。将来、消費税を上げてもその収入の大半が雇用政策や社会保障政策以外の目的に使われることになるだろう。おそらく、経済成長を理由にした大企業優遇政策と財政赤字の穴埋めに使われることになるだろう。
👉“ずるい”選挙で三度目の勝利を狙う安倍自民党「増税しません」で国民の信を問うというおかしな理屈
選挙が終わり、もし与党と補完勢力が憲法改正に必要な議席を確保するようなことがあれば、安倍首相が改憲の論議に前のめりになることは明らかだ。なぜなら、アベノミクスは憲法改正のために打ち出された政策だからだ。
経済政策や雇用、あるいは社会保障政策で与党や与党の補完勢力に投票しても安倍首相の願望は憲法改正だけだから昨年の安保法制騒動の二の舞いとなることが予想される。多くの時間が憲法改正のために割かれることになるだろう。原発の再稼働は、おそらく経産省の省益維持と安倍首相の悲願である憲法改正への協力がバーターとなって進められているのだろう。
安倍首相の関心は、憲法改正以外にない。だから私たち国民が最も関心が高い、経済政策や社会保障政策に国の政策の重点を移させるためには、今回の参院選で改憲にノーをはっきりと突きつける必要がある。
👉自民勝利はきわどいか、攻防続く参院選の行方~今回の参院選で改憲勢力が78議席以上を取れなければ、その夢も潰える。
安倍政権にできることは、問題の先送りと財政悪化を加速させる財政出動以外ない。安倍首相が政権の実績として協調する税収増から参院選後に公表される予定の年金資金の運用損をマイナスして考える必要がある。
アベノミクスは、日銀を使った金融緩和による円安と官製相場による株高以外、何も中身がないように思う。企業業績は、円安による売上数量増を伴なわい売上高の嵩上げだけだった。
そして震災復興とオリンピックによる建設需要に対応した公共投資で建設業界が空前の利益をあげている。決して日本企業の本来の収益力が向上したわけではない。それは、個別の企業の株価を時系列で見てみればすぐわかる。好調な利益に比べて個別の株価は、決して高くないのは、そうしたことを投資家は見透かしているからだろう。
公共投資とオリンピック関連需要は現在の人手不足の一因にもなっており、一時的な雇用指数の改善につなっがている。労働者不足で人件費が高騰してもゼネコンは空前の利益を上げている。建設関係の人件費の高騰がサービス業の人手不足と人件費の上昇を招いていることが容易に想像される。
財政出動とオリンピック需要がなくなったときに何が起こるか私たち国民はきちんと考えるべきだと思う。集中的な財政出動は、結局、一時的な問題の先送りにすぎず、祭りの後には巨額の債務と厳しい緊縮財政が待ち受けているように思う。その時は、もはや先送りする先もないだろう。
👉東京五輪後に地方は崩壊する~東京が吸いつくす地方経済のカネ
そして、今、マイナス金利で運用に困った金融機関の資金が不動産に向かいつつあると言われており、過剰流動性による局地的ミニバブルが起こるリスクが指摘されている。
👉路線価8年ぶりプラス=銀座でリーマン前水準-上昇は14都道府県・国税庁
参院選の比例代表の投票は政党名ではなく、必ず個人名で投票しよう!
私は、今回の一人区での野党の統一候補の擁立については、高く評価している。しかし、参院選後にもう一度、野党再編をしなければ無党派の人々の支持を得ることはできないだろう。
民進党の中には自民党の議員と変わらないカメレオン議員が混じっている。労組支持を基盤にしている政党に構造改革はできない。この状態で政権が変わってもまた自民党と変わらなかったということになったら、今度こそ無党派層はみんな政治に関心がなくなるだろう。
参院選は政権選択の選挙でなく、衆院の独断を監視するために良識を持った人々を選ぶための選挙だと私は思っている。残念ながら比例代表の政党候補者の中には、知名度を基準として選ばれた人々が入っており、とても良識を持った人たちの候補者リストとは言えない。明らかに議員報酬目当ての候補が混じっている。
👉自民党であることを隠し、空公約を主張する今井絵理子氏 民主主義劣化の象徴
👉2016参院選 公私混同対策 政党アンケート 政治資金出口規制、及び腰 (毎日新聞 2016年6月26日)
👉参議選 参議院の存在意義 法の支配の守護者として~議院内閣制のもとで、衆院はどうしても政府と一体化してしまう。そこで「政府をつくる衆議院、それを監視する参議院」との役割分担がふさわしい――。
与野党が参院選で訴える政策についても全面的に共感できるようなものはない。参院選は政権選択のための選挙ではないが、今回の参院選で最も影響を受ける政策は、改憲問題だろう。だから、今回の参院選は、マスコミや自民党が何を言おうが、憲法改正が投票の基準になる。
私が唯一共鳴できるのは「国民の怒りの声」の基本政策だ。比例代表は参議院の場で政党ではなく、国民の生活を守ろうという理念を持っている個人に投票したい。
地元の利益の代弁者ではなく、全国区で議員を選ぶのが参議院選の比例代表だ。恥ずかしいことだが、私は、最近まで衆議院と参議院の比例代表のしくみをよく知らなかった。参院選では、政党名ではなく、個人名で投票するべきだということを知らなかった。
衆院選のように不本意でも名簿上位の党の実力者や有名人から当選していくことはない。参院選では党名を書いても得票数の多い候補から当選するしくみになっている。
👉複雑で理不尽な、比例代表選定の仕組み ライバルは同じ政党の候補者、当選者ラインもバラバラ~有権者が投票により順位を左右することができる非拘束名簿式比例代表制です。
だから不本意な候補を当選させたくなかったら投票所に行く前に自分が投票しようと思う比例代表の候補を決めておくべきだろう。投票当日に投票会場で全国区の名簿の中から短時間で候補を選ぶのは不可能だ。党名を書くことは知名度の高い候補に有利になる、お任せ投票になってしまう。自分の意思をはっきり示すべきだ。
👉参院選を前に女性たちが安倍政権に危機感…ファッション誌「LEE」も「自民党に改憲を許す」危険性を警告~「無投票は『ただ投票しなかった』だけでなく、まして『抗議』の効果なんてなく、『投票に行った人への賛成』を意味する。この点は知っておいてほしいです。前回の衆院選で与党第一党に投票した人は、比例で全有権者の17%、小選挙区で約25%です。もし今の政治に不満があるならば、投票に行かないことは、この人たちに、いろんなことを丸投げするということなんです」
今、テレビでイギリスのEU離脱が確実だと報じている。アメリカの大統領候補戦のトランプ氏の躍進もイギリスのEU離脱も根は同じように思う。格差に不満を持つ層が、現在の資本主義とグローバル経済にノーを突きつけているのだろう。
離脱派の政党の代表の演説の声としゃべり方がトランプ氏とそっくりなのにちょっと驚いた。
👉アングル:英EU離脱派、底流に「トランプ主義」と共通する価値観~英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を主張する陣営に、不気味なほどの既視感を覚えるかもしれない。
安倍政権の政策もどう言いつくろうが、アメリカのグローバル経済を志向するものだろう。市場規模の拡大が必ずしも国民を幸せにしないことが証明されつつある。TPPは、やはり再考されるべきだ。EU離脱による株価の急落は、年金資金の運用リスクがさらに顕在化することになるだろう。
👉年金の運用損、昨年度5兆円超 GPIF公表は参院選後~2015年度の公的年金積立金の運用成績は、5兆円を超える損失となることが確定した。
👉「イギリスのEU離脱」と「年金資金の運命」~「2016年7月、あの時に何も知らずに、大丈夫だと信じてしまった」という嘆きを広げないために、徹底した与野党論議を望みます。
👉4~6月も年金運用損5兆円 英離脱で株価急落(2016年7月5日 東京新聞)~英国の欧州連合(EU)からの離脱問題で株価が急落したのが主な要因。一五年度も五兆数千億円の損失を出す見込みが既に明らかになっており、一四年度末と比較した場合の損失は約十兆円に膨らむ見通しとなった。
原発の再稼働、TPP、そして集団的自衛権の行使という判断の誤りが現実になったときにきっと誰も責任を取らないだろう。しかし、私たち国民が正しい判断を下せば、まだ間に合う。そういう意味で今回の参院選は政権選択の選挙ではないが、日本の将来を決める重要な選挙になる。
👉「不安材料」参院選後に先送り=年金・TPPなど、野党は攻勢【16参院選】
イギリスのEU離脱は、その善し悪しはともかく、イギリス国民の選択だということを冷静に受け止めるべきだろう。私は、マスコミのイギリスのEUの離脱に対する報道にとても違和感を感じている。日本の経済に大きなリスクを与える可能性があるから何とか離脱を思い留まって欲しいという論調が多い。
しかし、イギリスがEU離脱の国民投票を実施せざるを得なかった背景をしっかり分析するのがマスコミの役目のように思う。
👉英EU離脱:地方の不満が爆発 経済停滞、離脱派あおる~離脱選択の背景には、英国の地方経済の停滞と住民の不満、それをあおった離脱派の戦略があった。(毎日新聞 2016年6月26日)
👉EU国民投票、英社会を分断=異なる価値観、亀裂広がる~グッドウィン教授は「国民投票は分裂した二つのグループを統合できない。投票に向けた論戦で一層亀裂が広がった」と指摘している。
👉EU離脱とアベノミクス 「ポピュリズム」の行き着く先は 小幡績氏に聞く
アメリカが主導したイラクやシリアの破壊が、多くの難民を生み出し、EUの移民問題を顕在化させたことは否めない。集団的自衛権の行使は世界平和に貢献しない。武力によらない歩み寄りの中にしか問題の解決策はないと思う。
この項、おしまい
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