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2015/10/31

民意はどこに向かおうとしているのかⅡ~世論調査再考

 

 読売・産経・日経の世論調査を選んだ理由

 

 安保法案をめぐり、国民の民意がどこに向かおうとしているのかを世論調査を通じて分析してみた。私は、安保法案も改憲も反対だが、敢えて朝日と毎日の世論調査を分析の対象からはずした。それは、朝日や毎日の世論調査は、どうしても2社の主張に近い人が回答する傾向が強くなるだろうと考えたからだ。

 

 無論、政権の広報のような記事を書く読売や産経が実施する世論調査も同じことが言える。しかし、敢えて政府の見解に偏向した記事を掲載する2社の世論調査を分析すると意外な事実がわかる。例えば、内閣を支持する人が、必ずしも安倍首相を信頼しているわけでもなく、自民党政権だから支持しているわけではないことがわかる。

 

 産経の世論調査は、世論調査で反則行為とされている手法のオンパレードだ。しかし、回答者は誘導質問と思われる質問にも大方、冷静に回答しているように思える。確かに他社の調査結果とかけ離れた回答結果も散見される。それでも、産経の世論調査が、偏りがある調査だということを認識した上で分析すれば、主要な項目は、他の新聞社の世論調査の調査結果と同じ傾向が読み取れる。

 

 各社の数字の違いを比較することは無意味

 

 例えば、安保法案強行採決直後の内閣支持率は、どの新聞の世論調査も不支持が支持を上回っている。以前、紹介した「世論調査とは何だろうか」という本では、各社の数字の違いを比較することは無意味であることが指摘されている。そして、世論調査自体、一定の誤差を前提に設計された、確立理論に基づいた統計調査にすぎない。

 

 →知る権利~メディアは、国民に正しい情報を発信できるだろうか…私の提案

 世論調査にはルールがあり、質問の仕方や質問の順序、言い回し等で結果が大きく変わってくることが分かっているそうだ。だから、各社は、その精度を上げるために工夫を凝らしているようだ。しかし、その一方で世論を誘導したいという誘惑が新聞社にはあるという。だから、私たちはその新聞社がどういう政策に関心や利害を持っているかを理解しておく必要がある。

 

 また、こうした新聞社の関心や利害は、時の政権に対する配慮や国民の批判にも左右され、必ずしも一貫したものでもないようだ。さらに、記事を書く記者の個人的な資質にも大きく左右されるようだ。だから、私たち国民はできるだけ多くの情報に触れ、自分の判断が正しいのか、あるいは何かを見誤っているのか謙虚に内省してみる必要がある。

 

 ただ、安倍政権と自民党は信頼できないことは揺るぎのない事実だと思う。そうかと言って民主党が信頼できるわけでもない。それは、さておくとしても産経の世論調査は政権と一体化しており、国民の知る権利を守る立場で世論調査をしているとはとても思えない。読売の記事は安倍政権の政策を擁護する記事が多いが、世論調査自体は、産経程酷いものではないように思う。

 

 世論調査の誤差とバイアス

 

 前出の「世論調査とは何だろうか」という本によれば、世論調査が「1,000人の調査で国民を代表できるわけ」は、「無作為に数多くの人たちを選んで意見を聞いている世論調査では、中心極限定理によってサンプルの意見の分布が全体の意見の分布にかなり似ている」ことが推定されるからだという。

 

 「回答した人が1,000人の場合、誤差を計算するとプラスマイナス3.1%になります。ということは、支持率が50%だったら、実際は約47%から53%である確率が95%」だと考えられるのが、現在行われている世論調査だそうだ。しかし、こうした精度は、世論調査を一定のルールに従って実施した場合のときだ。

 

 調査結果を見て例えば2ポイントの差があるから賛成が多いと考えるのではなく、概ね賛成と反対が拮抗していると考えるのが世論調査を分析するときの正しい態度だそうだ。

 

 さらに調査主体によるバイアスもあるという。つまり、政権に批判的な朝日の調査と政権に偏向した産経では、同じ調査でも調査結果が違ってくる。朝日が嫌いな人は、朝日の世論調査を避けるだろうし、産経を政権の広報と考える人は、回答を拒絶するだろう。だから「調査は一つの社のトレンドを見ろ」と言われているそうだ。

 

 世論調査のルール破り

 

 それでも産経の世論調査(実際にはFNNとの共同調査)は酷いと思う。何故なら、世論調査のルール破りが多すぎるからだ。例えば、質問の言い回しだ。長い説明や枕詞は御法度のはずなのに安倍首相の8月14日の戦後70年談話直後の世論調査は、長い説明と枕詞だらけだ。以下は、70年談話直後の産経と読売の世論調査の質問内容だ。赤字が枕詞や長い説明と思われる言い回しだ。しかし、こうした誘導質問でも安保法案の成立については、過半数の人が反対と答えている。賛成しているのは自民党支持者と重なっているようだ。

 そして私が、産経の世論調査が信用できないと考える理由は、調査がRDD方式により「算出した回答数が得られるまで調査を行った。調査対象は全国の成年男女1,000人」としか説明されておらず、対象世帯数も回答率も書かれていない。産経の調査結果の中で一番不自然なのは維新の党の政党支持率が他紙に比べて高すぎることだ。産経の購読者は大阪府が最も多いそうなので、世論調査の回答者も関西に偏っていることはないだろうか。

 

 →産経新聞販売部数【総数順】 [ 2010年第一位 大阪府 ]

 

 橋下大阪市長の動向を頻繁かつ詳しく報道しているのも産経だ。日経の10月の世論調査で「おおさか維新の会」に期待すると回答したのは全体の28%に過ぎず、56%が期待しないと答えている。しかし関西圏では期待するが50%で、期待しないが42%だったことを報じている。こうしたことから考えると産経の世論調査の回答者の分布が関西に偏っている可能性もあるのではないだろうか。

 

 →橋下新党に「期待」28% 関西圏では50%

 

 もし、そうなら産経の世論調査は、「1,000人の調査で国民を代表」するという世論調査の信頼性を大きく歪めるものだろう。しかし、そういうバイアスが大きくかかった調査でも時系列で見れば一定のトレンドを知ることができる。

 

 私は、産経の記事も政治がらみでない記事は、評価できるものがあると感じている。どうも産経の現場の記者がみんなネトウヨ化しているわけではないように思える。東芝のチャレンジ事件と同じで企業の業績が悪いとまともな意見が反映されにくくなるという経営上の問題が産経にはあるのではないだろうか。日経以外で電子版の採算がとれている新聞社はないそうだから業績の悪い会社が、何故、電子版の配信を続けることができるのかとても不思議に思っている。何か別の収入源でもあるのだろうか。

 

 →産経新聞社員「発行部数水増し、原発賛成はカネになるから!?」

 

 数字にバラツキが見られるもののトレンドは同じ

 

 下の表は6月から10月までの内閣支持率の推移を見たものだ。世論調査のデータは、読売、産経、日経と世論調査については最も信頼性が高いと思われるNHKの世論調査も加えた。NHKは調査主体としてのバイアスも少ないように思ったからだ。各社の内閣支持率の数字にバラツキが見られるもののトレンドは同じような傾向を示している。いずれも衆院と参院での強行採決直後に大きく支持率が下がり、不支持が支持を上回っている。

 そして安保法案の衆参の強行採決を挟んだ安倍首相の戦後70年談話直後に少し持ち直している。TPPの大筋合意後は、統計の誤差を考えれば40%前後で支持と不支持が拮抗している状態のようだ。政党支持率は、分裂騒ぎで維新の党が大きく支持を下げ、相変わらず党内の意見を集約できない民主党の支持が漸減している。一方で主張が明快な共産党に対する支持は安定的だ。

 内閣支持・不支持の主な理由から面白いことがわかる

 

 下表は読売と日経の内閣支持・不支持の主な理由だ。これを見ると面白いことがわかる。それは、安倍政権を支持する理由が安倍首相や自民党政権に対する信頼や政策に対する期待ではないことだ。読売の調査の支持する理由の断トツは「これまでの内閣よりよい」という理由だ。不支持層の理由は、「首相が信頼できない」という理由が最も多く、次いで「政策に期待できない」が大きな理由で、その後に「自民党中心の政権だから」が続いている。

 

 内閣支持層でも「首相が信頼できる」と考える人は減り続け、直近の読売の調査ではわずか8%まで下落している。一方、内閣不支持層で「これまでの内閣の方がよい」と答えたのはわずか5%だ。

 

 日経の調査でも質問項目は異なるが、傾向は同じだ。内閣支持層は、指導力と安定感を評価し、不支持層は、「自民党中心の内閣だから」、「政策が悪い」、「政府や党の運営が悪い」という回答が続いている。

 

 2社の世論調査の内閣支持理由は、要するに政策には期待できないが、今までの内閣よりましだからということになる。正直、この点ついては、昨年の衆院選まではまったく同感だ。しかし、現在の安倍政権は最悪だと思う。

 安倍首相と橋下市長の本心

 

 私は、経済や景気より多様性な価値観が守られるということが最優先だと思う。見せかけの株高や円安は、結局、経済格差の拡大を増長しただけで、財政状況は、危機的な程悪くなっていると思う。安倍首相は、財政再建に興味がないことは明らかだ。

 

 安倍首相は自分が進めたい政策、憲法改正以外の政策にはおそらく本心では興味がないように思う。自分のやりたいことに協力してくれる人なら誰でもお友達なのだろう。今は、経済界優先の政策を進めているが、もし連合が憲法改正に協力するなら何でも協力するように思う。ひょっとすると支持層の極右思想の層からの反発がなければ日教組と手を組むことすら厭わないだろう。

 

 公明党が参院選対策のために主張する消費税の軽減税率に前向きな姿勢を示しだしたのも期待していた維新の党の分裂で今後、橋下市長の求心力が低下し、大阪の知事と市長のダブル選でおおさか維新の会が負けた時のために保険を掛けただけのように私には思える。一方、橋下市長が仕掛けた維新の党の分裂は、野党の参院選での協力を妨害するためではないだろうか。大阪都構想での安倍首相の支援に対する恩返しもあるのかもしれない。

 

 だからひょっとすると橋下市長はおおさか維新の会もどうでもいいのかもしれない。もしダブル選で勝利したら来年の参院選で安倍政権を支援したいと考えているのだろう。維新の党自体、図らずも野合だったことを今度の分裂騒ぎで橋下氏自身が証明した形だ。建前はともかく、橋下徹という個人的な人気を利用して選挙で有利に戦いたいという保身の人たちの集まりが維新の党だったように思う。おおさか維新の会のメンバーも単なる捨て駒のように思える。おおさか維新の会に移籍したメンバーも所詮、選挙でどっちが有利かという打算で動いているように思える。

 

 →毎月300万円の大豪遊…分裂「維新」大阪組の異常なカネ遣い

 

 →橋下徹氏は今年8月まで維新の党代表だった~法廷闘争で露になる維新の党の自己矛盾松野氏側によれば、新規党員数は激増したが、そもそも大阪系の国会議員が集めたのはその6%未満にすぎず、地方党員が集めた分を含めても10%に満たない。橋下氏はとかく維新の党を「自分が作った党」と大阪の優位を主張するが、実態はそういう構成ではないというのだ。

 

 消費税は欠陥税制?

 

 私は、つい最近まで消費税の10%値上げは、財政再建のためにやむを得ないと考えていたが、消費税の戻し税の存在を知り、消費税を上げても消費税の戻し税という綻びから税収が漏れ出している事実に気がつき、消費税自体に疑問が湧いてきた。トヨタをはじめとする輸出比率の高い大企業が消費税を納めず、莫大な還付を受けていることを知り、日本の税制は過度に大企業を優遇していると感じている。

 

 →海外取引における輸出と消費税免税(税金)について

 

 →消費税の行方

 

 →アメリカは日本の消費税を許さない-消費税は輸出戻し税・輸出還付金で大企業優遇する不公平税制

 

 →消費増税すると派遣社員が増える税制上のからくりが! 増税は安倍政権に近い派遣会社を儲けさせるだけ~わかりやすくいえば、正規の従業員に給与を払うと(課税仕入ではないために)その分に消費税がかかり税務署に消費税を払わなくてはならなくなるが、派遣社員を使った場合には給与ではなく「労働者派遣料」となり(課税仕入となり)、派遣を受ける会社はその分の納税を税務署にしなくていい(控除される)のだ。『日本の税金』の著者である三木義一氏は青山学院大学法学部教授で租税法のスペシャリストだ。氏は「消費税率を引き上げるときは、労働法制の方で適正な規制をしないと、派遣労働がさらに増える可能性がある」と懸念している。

 

 経団連が消費税率の着実な引き上げを政府に提言している理由が分かった気がする。消費税率の引き上げを要望しながら、同じ口で法人税率の引き下げを求める強欲な姿勢は、社会正義に反する行為だと思う。コストを理由に生産を海外に移し、残った国内生産の国内販売で得た消費税を納税せずに海外販売の原価に含まれる下請けが負担した消費税で相殺しきれない分を多額の戻し税として受け取るような制度が何故許されるのだろうか。

 

 →法人実効税率、来年度は30.88% 政府が最終調整

 

 海外で消費税としては回収できないとしても販売価格に転嫁すればいいだけのことだと思う。転嫁が難しければ自ら負担するべきだろう。そもそも下請けには仕入れ価格の引き下げで消費税分を値引きさせているのが実態だろうから還付を受ける資格すらあるのか疑問だ。消費税率が上がれば上がるほど輸出業者の利益が増えるような制度は国民の納税意識を大きく減退させることになるだろう。社会保障制度の維持のためのはずの消費税率の引き上げが法人税軽減の穴埋め原資として使われているならとんでもないことだ。

 

 一方で消費税の非課税事業者である病院は、診療報酬が増えない中で消費税率の引き上げで調達する医薬品や消耗品等の物品コストが増え、赤字が膨らんでいるという。病院は、消費税でコストが上がってもその分を診療報酬に転嫁できないし、輸出企業のように消費税の還付も受けられない。それでなくとも医療費の削減で病院経営が悪化しているのに国の政策は、まるで医療制度の破壊を目論んでいるかのようだ。

 

 →東京の医療が崩壊の瀬戸際 看護師不足、病院赤字で報酬カット…医療事故増加の懸念~ 厚労省も損税問題を認識している。そして、損税を補填するため診療報酬を1.36%引き上げている。しかしながら、これでは足りない。前出の亀田綜合病院でボーナスがカットされたのは、14年度の消費税支払い額が前年度より約4億円増えたためだ。17年春には消費税が10%に上がる。一方、財務省は診療報酬の減額を目指している。

 

 →国立大学病院「不平等」と不満、消費税問題(2015年4月27日訂正) 不祥事は「共通の問題」、国立大学附属病院長会議

 

 →4月から引き上げられた医療費は消費税アップの「便乗値上げ」なのか~!?2015年の消費税増税まで、医療費における消費税の非課税取引を見直して、患者に負担をしわ寄せしないように、医療機関が控除しきれなかった消費税は税務署から還付してもらえる「ゼロ税率」といった方法をとることが検討されている。(検討されていた?)

 

 大企業に勤めている人間は、国民の中の少数であり、その中でも本当に賃金が上がっている社員はどれだけいるのだろうか。賃金が増えても正社員の減少で労働環境が悪化している職場が多いのではないか。長時間労働が増え、時間当たりの賃金は逆に低下しているのではないだろうか。安保法案の審議の影響で見送られた通称「残業代0法案」が成立すれば、裁量労働制が拡大され、ますますこうした傾向に拍車がかかるだろう。

 

 見かけの労働生産性は上がっても、実質的な労働生産性は下がり、労働環境の劣化が進むことが予想される。そして労働者全体で見れば、今後、日本の社会から中間層が減り、下流化が進行して行くことが予想される。日本より先にグローバル化が進み、経済格差が深刻な韓国社会の姿が日本の将来を暗示しているように思う。かつて韓国は急速なグローバル化で急成長を遂げていた時期があったが、その結果が現在の経済停滞と所得格差の拡大につながり、過度の競争社会の進行で社会に対する不満が蓄積されている。日本の右傾化もこうした社会背景と無関係ではないように思う。

 

 TPPによる関税の引き下げ、法人税率の引き下げ、消費税率の引き上げによる戻し税の増加、労働コスト削減のための経営側に都合のいい労働法制の改悪、公共工事のバラマキと大企業優先の政策ばかりだ。日本の法人税率は、既に経済のお手本である米国を下回っているし、米国は販売時の物品税はあるが、消費税は、欠陥税制だとして採用していないという。日本の消費税相当額の税収が法人税の減収と相殺されているという調査があり、これは個人の課税を強化してその分の税収を法人に移転する政策だ。

 

 →金子勝・慶応大学教授の「B級国民」ツイートに批判が集まる 三宅雪子・元衆議院議員は擁護ツイート

 

 企業や政府の説明は、おそらく企業の競争力を高めることで雇用の創出と維持につながるということになるのだろうが、現実は逆のように思う。国の補助政策とグローバル化により企業の競争力は劣化し、雇用環境はどんどん悪化しているのが現実だろう。グローバル化と言えば聞こえはいいが、実態は米国追随の制度模倣に過ぎないように思う。グローバル化を目的にして米国から採用した会計制度や企業統治制度は過度の短期成果主義の弊害に追いついていないように思う。

 

 これからも少子高齢化で国内需要は減り続けていくことは目に見えている。輸出金額は円安で膨らんでいるが、輸出数量は増えていないのに消費税が戻し税で流出し、その挙げ句、将来はTPPによる関税の撤廃で海外移転した工場で生産された無関税のグローバル企業の安い製品が日本に逆輸入されてくる可能性が高い。国内の中小事業者はどこまでも追い詰められることになるのではないだろうか。

 

 →『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (3): 小松秀樹「人口の変化と社会保障」を語る~筆者が直接見聞した限りでは、中央官庁のキャリアは、国立社会保障・人口問題研究所の推計が示す絶望的世界を正しく認識している。しかし、行政もメディアも国民に正直に伝えていない。…国民国家とは「国民を暴力や収奪から保護し、誰も飢えることがないように気配りすることを政府がその第一の存在理由とする政体である」はずが、政府がグローバル企業を国民より優先するようになった。「日本企業」を経済戦争の担い手にしたて、「どうすれば日本は勝てるのか?」と執拗に問いたてる。企業の利益を増やすための環境コスト、製造コスト、流通コスト、人材育成コストを国家に支払わせようとする。実は、「日本企業」はグローバル企業であり、「企業利益の増大=国益の増大」という等式は虚偽である。現状は国民国家の「末期」のかたちである。

 

 いっそのこと、税金をきちんと払わない大企業は、全部海外に出て行ってもらった方がいいのかもしれない。そうすれば、コンパクトで中小企業が中心の活力あふれる働きやすい社会を実現できるかもしれない。子育てがしやすい社会が実現できるかもしれない。働くことは大切だが、生活をエンジョイすることも大切だと思う。大企業を国内に引き留めるために優遇しても日本で生産するより海外で生産する方がグローバル競争で生き残るために経済的合理性があれば大企業は今後も生産を海外に移していくことは明らかだろう。

 

 次の表は、10月の新聞3社の世論調査から拾った参院選の争点だ。民主党は最近、安保法の廃止ではなく、修正を主張し始めているが、それはおかしな主張だ。国会審議ではさんざん廃案に追い込むと言っていたのに成立したら修正だと言う。10本にまとめられた改正法案については、1本1本審議するべきだと言っていたはずだ。それなのに不備だらけの法律をきちんと審議することなく、修正を主張する愚かさに呆れてしまう。

 

 →民主党「バラバラ感」再び 細野氏ら安保法成立後に噴き出す“後出し”異論 「新党」結成要求も岡田氏と温度差

 

 →民主・岡田代表、安保関連法廃止法案を提出へ~安全保障関連法の一部を廃止する法案を来年の通常国会に提出する方針を明らかにした。

 橋下市長が主張した安保法案に対する対案についても自民党は最初から受け入れる気がなかったことは明らかだし、最近の宮城県議選の結果は対案を出さずに安保法案の廃案を主張した共産党の議席が倍増し、対案を提出した民主党と維新の党は共に議席を減らしている。対案などまともな国民は求めていないことが証明されたのではないだろうか。結局、対案の主張は、安倍政権を支援するために橋下氏が考えたレトリックに過ぎないように思う。

 

 もともと安倍政権が誕生したのは100%民主党の責任なのだから、その責任を棚上げにして法案が通ったら安易な修正で望もうという姿勢をみると相変わらずのように思う。先程の内閣支持率の理由の分析からも明らかなように国民は安倍政権を信任しているわけではなく、今までの内閣よりましだからという消極的な選択で内閣を支持しているだけだ。

 

 それなのに民主党は、安保法案から1ヶ月で主張がぶれるダメ野党ぶりだ。小沢氏も去り、宇宙人の元首相もいなくなり、選挙目当ての議員も維新の党に移籍し、随分すっきりして国民の信頼を取り戻す体制ができてきたのかと思ったら相変わらずの党運営のようだ。

 

 →民主・細野政調会長、共産との選挙協力に否定的「説明つかない」~安全保障関連法の廃止を訴える共産党とは根本的に対応が異なると強調。「民主党は現実的な案を出すべきだ」と語り、安保関連法の部分的な廃止を盛り込んだ法案を提出すべきだとの考えを示した。

 

 民主党は一旦、解党して国民が望む受け皿となる新党を立ち上げてはどうだろうか。まだ政権交代を主張できるような域に到達していないのは明らかなのに政権交代を叫べば、かえって国民は離れていってしまうように思う。細野氏や前原氏等の右派寄りの人たちは、分裂した維新の党の江田氏を中心とした残留組と合流したらどうだろうか。

 

 →「民主解党」岡田氏に要請へ=前原、細野、江田氏が一致

 

 →年内解党論が再燃=執行部慎重、路線対立も-民主

 

 →前原氏ら民主解党派、早くも腰砕け 菅元首相、小西氏ら反対論展開~前原氏は12日、「おおさか維新の会」を率いる橋下徹大阪市長について、記者団に「改革のケミストリー(相性)は共有している」と語り、連携に意欲を示した。

 

 無理矢理、意見を一本化しても先々、民主党政権時代と同じような状況に陥るのは目に見えている。分党した上でおおさか維新の会以外の共産党等の野党と選挙協力するべきだろう。参院選で国民が新党と民主党から合流した維新の党のどちらを支持するのかが明らかになるだろう。今の状態では、安倍政権の政策を望まない国民は、参院選で共産党に票を入れるか、棄権するかの選択しかないように思える。解散総選挙のない参院選まで野党再編のための時間があり、SEALDsを始めとした一般国民を巻き込んだ国民運動も可能なように思う。仮に衆参同時選挙になっても戦える体制をつくっておくべきだろう。

 

 →本当の敵は「安倍政権」か?ー参院選前に自民党が変質したら、野党はどうするのか? ~この前倒し通常国会、臨時国会を開催しない代わりにということが言われているが、一方で衆参ダブル選を念頭に置いた日程であるという話も一部にある。

 

 今の民主党のまま参院選で戦うのは不可能だと思う。世論調査からもわかるように民主党に対するトラウマは福島の原発事故とも重なり、今後も消えることはないように思う。民主党を再生するのではなく、新しい理念の基に新党を立ち上げるべきだと思う。

 

 民主党のまま政権と対峙しようとすれば、常に過去の主張や政策を引き合いに出され、不利な戦いを強いられることになるだろう。現に安倍首相は新国立競技場問題で民主党に責任転嫁する発言を行っている。もともと第2次安倍政権は、民主党の失政をバネにして登場してきたゾンビ政権だ。はっきり言って国民には民主党に対するこだわりはない。民主党が再生できると思っている国民は皆無ではないだろうか。民主党自体、労組の支援を求心力にして集まった野合集団で野合という点では維新の党と変わりはない。労組ではなく、4割を超える無党派層を取り込むことに腐心するべきだ。

 

 →「コンクリートは人を守る」=安倍首相、民主に当てこすり

 

 今回の安保法案で浮き彫りになった立憲主義を守りたいと思う多くの国民の声をベースにした理念を掲げる新党を国民は願っていると思う。基本理念が異なる野合集団はいらない。安保法を廃棄し、中国や北朝鮮の脅威の問題があるなら自衛権の問題として国会で議論を尽くして欲しい。それが世論調査で今でも80%以上が安保法の説明が尽くされていないという思いを抱く国民に対する説明責任を果たすことにつながるはずだ。集団的自衛権の行使に賛成している国民は3割もいない。つまり自民党支持層ですら反対している人がいるということだ。

 

 →フジの生放送で松坂桃李、指原莉乃、長嶋一茂が「安保法制は廃止すべき」、視聴者調査でも66%が廃止に賛成

 

 消費税については、国民の過半数が再引き上げを望んでいないし、軽減税率の導入については日経調査では国民の7割以上が導入に賛成している。私は、消費税の引き上げの有無にかかわらず軽減税率の導入には懐疑的だ。何故なら事業者の事務負担だけでなく、税が複雑化し、国民の理解が得られるような運用が難しいように思うからだ。また、軽減税率の適用を求めてマスコミのようにロビー活動をする動きが活発になり、利権汚職や利益誘導の温床になることが避けられないからだ。また、穴が開いた財源の穴埋め問題もある。

 

 →軽減税率で官房長官「低所得者の負担少なく」 

 

 →「軽減税率」は、実は低所得者支援策ではない! 第1回 「軽減税率」のこと、ちゃんと知っていますか? - 飯田泰之~現在の欧州の複数税率についても同様の問題が生じている。書籍類への軽減税率はおまけ付き商品――服やバッグに申し訳程度の小冊子がつく「雑誌」を生んでいる。

 

 →軽減税率を求めるマスコミの「翼賛体制」

 

 →225円のために軽減税率なんていらない。~3400億円はひとり親支援に使え~

 

 いっそのこと消費税の引き上げを止めたらどうだろうか。財源は、消費税の戻し税の縮小(例えば赤字事業者に限定する等)や租税特別措置の適用の縮小、法人税率の適正化、新たな物品税の導入などで対応するべきだと思う。消費税率が引き上げられれば引き上げられるほど自動的に増える輸出企業に対する消費税の戻し税は、結局、輸出補助金に過ぎないように思う。

 

 消費税を上げても消費税の戻し税や法人税の軽減で税収自体が増えないなら国民負担が今後も増えるだけで社会保障費の削減だけが続けられることになるだろう。また、消費税の引き上げは消費税の転嫁が難しく収益力の乏しい中小企業をさらに追い込むことになるだろう。輸出にしか活路が見いだせない政策は韓国の二の舞を演じるだけだ。

 

 →消費税還付 輸出大企業20社に1兆1751億円

 

 →日本の税制はトヨタのためにある! 国民への課税強化の一方でトヨタは1200億円の減税、そのからくりとは?

 

 →「軽減税率で消費税ネコババ増」は嘘! 現実に起きるのは増税分を価格転嫁できない零細業者の破綻、税金滞納だ

 

 →酒税法改正見送りでビール各社の泣き笑いは?~庶民の酒として親しまれている発泡酒、第三のビールが増税となることに、来夏の参議院選挙への影響を懸念する声が与党で強まった。

 

 →市民団体「参与連帯」 法人税引き上げを要求(韓国)

 

 →ドイツ・社会保障制度の効用~連邦労働省が今年8月初めに発表した統計によると、昨年ドイツは、年金や医療費、失業給付金などの社会保障サービスのために、8500億ユーロ(119兆円・1ユーロ=140円換算)を支出した。これは、前年比で3.8%の増加である。ドイツの昨年の国内総生産(GDP)の伸び率は3.4%だった。つまり社会保障支出は、GDPを上回るスピードで増えているのだ。…毎月の手取り所得が1万ユーロを超える富裕層では、税金や社会保険料の負担が、国から年金などで受け取る分を7845ユーロも上回っている。これに対し、毎月の手取りが1000ユーロ(14万円)未満の家庭では、国からの資金援助が所得税や年金負担を476ユーロ(6万7000円)上回っている。


ドイツ政府はこのように富裕層への課税を強化することによって、所得格差の軽減に力を入れているのだ。ドイツが、自由放任主義をとる米国と、最も大きく異なる点である。日本では「シュレーダー改革で社会保障制度を削減したので、ドイツ経済はうまくいっている」と誤解している人がいる。実際には、シュレーダーは社会保障制度の行き過ぎた部分を是正し、市民の自己負担を増やしたが、同国の社会保障の水準は、日本や米国よりも高い。

 

 TPPで企業や農産業が活性化するというのは本当なのだろうか。そして消費者も本当に恩恵を受けることになるのだろうか。撤廃される関税のコストが流通段階で消えてしまう可能性も指摘されているし、災害で海外の農産物が不足すれば高い価格で輸入するしかなくなってしまう可能性がある。そのとき日本が輸出に特化した高価格の農産物に傾斜していれば、消費者の選択肢がとても狭いものになる。

 

 また、食品の安全性も守られるのだろうか。ひょっとするとTPPで関税が廃止されたら、日本の企業が海外で生産して逆輸入した方が儲かるかもしれない。そのときは、日本の工業も農産業も再生できない程、衰退しているかもしれない。いずれにしてもこうした危惧についてきちんと検証する必要がある。安保法案と同じように国民に対する説明が不十分のまま国会で強行採決されないことを願うばかりだ。

 

 →輸入食品の検査率、わずか8.8%の衝撃 残留農薬等の危険な食品輸入増は必至

 

 →内閣支持率はなんと18%! 農業従事者がTPPの大嘘に激怒し安倍政権にソッポ、党農林部会長・進次郎の対応は?

 

 →[徹底 TPP報道] 「決議違反」69% 内閣支持18% 政府と現場認識にずれ 本紙農政モニター調査 (2015/10/28)

 

 →内閣支持 最低36% 本紙農政モニター調査 (2015/7/14)

 

 参院選の争点はやはり安保法案のように思う。TPPはあまりに情報が少なくて現段階では判断ができないし、争点となるかどうかは今後の国会での議論次第のように思う。消費税については、戻し税や法人税の引き下げ問題について国会で明らかにして欲しい。つづく

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少子高齢化対策の事例を訪ねて彷徨う旅人の独り言
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