総理の天命
安保法制が衆議院で強行採決された。正直、驚きはなかった。それは、安倍政権が安倍首相のやりたいことを支えるだけのものだからだ。安倍首相が実現したいのは、憲法改正のみ。自分の妻に国会議員になった理由を聞かれ、憲法改正だと答えたことを妻自身が「安倍昭恵 総理の天命と私の使命」(文藝春秋2015年6月号)という手記の中で告白している。
私は、本屋でこの記事を立ち読みしたときに、ぞっとしたことを覚えている。憲法改正を夫の天命と感じ、それを支えるのが妻の役目だと思って「総理の天命と私の使命」というタイトルを付けたのなら不気味で異常だ。
憲法改正の口実の一つになる
安保法制は、憲法改正のためのツールにすぎないように思う。法案が成立したら、おそらく、安倍首相は何のためらいもなく海外派兵を実行するように思う。アメリカが望もうが、望むまいが。軍法会議もないまま、派兵して問題が発生すれば、それは憲法改正の口実の一つになるだろう。また、死傷者が出たときの敵国に対する国民の劣情も憲法改正の原動力になるだろう。こう書くとそんなはずがないと思うかもしれないが、安倍首相の異常性に私たち国民は真剣に目を向けるべきだ。問題はとても深刻だと思う。
→それが世界に憎しみと破壊をもたらすことを知っているからこそ戦争がしたい
→集団的自衛権で対IS戦争に参戦? 自衛隊が米軍と中東想定の大規模戦闘訓練実施するも安倍政権がひた隠し
安倍首相が怖い
新国立競技場のゼロベースの見直しも安保法制、その先にある憲法改正のための内閣支持率低下を抑えるための策であり、安倍首相にとっては、おそらくどうでもいい問題だと思う。今後も憲法改正のためなら何でもやることになるだろう。安倍首相が怖いのは、自分の個人的な利益でもなく、かといって国民の利益のためでもない、ただただ憲法を変えて自分が理想とする世界を実現したいという狂気だけだからだ。一般国民は時の首相がそんなことを考えているなどとは思いもしなかったはずだ。そんな話を聞いても真に受ける人は、今まで誰もいなかっただろう。
→なぜ安倍首相は「安保法案」で生き急ぐのか? 尋常ではない執念の背景
だから私たち国民は安倍首相が描く理想の世界が何なのかを考えることが一番大切だと思う。安保法制のわかりやすい説明が問題なのではなく、何のために憲法改正に向けた政策を進めているかを知るべきだと思う。わかりやすい説明ができないのは、その先にある安倍首相の実現したい社会は、私たち国民がとても受け入れられない社会だからだと思う。
→「日本会議」84%、「神道議連」95%、「靖国議連」84%・・・チャートで一目瞭然「第2次安倍晋三改造内閣の超タカ派の大臣たち」(俵義文氏提供)
→“炎上”朝日記者のツイートはデマじゃない! 安倍政権と安保法案を支持する「銀座デモ」の正体はネオナチと在特会だった!
一例がマイナンバー制
若者の受けを狙って人気タレントを花見に招待したり、女性の活用をピーアールするのは、単なるイメージ作戦にすぎない。国民の注意を反らし、不都合な情報は、マスメディアに圧力をかけて国民から遮断し、国民の気が付かないところで様々の重要な制度変更が現在進められている。その一例がマイナンバー制だ。多くの国民が知らぬ間に決められており、気が付いたら突然、影響を受ける企業が慌てて対策に追われている現実がある。
マイナンバー制は、単なる資産情報だけでなく、個々人のプライバシー情報が政府に一元的に管理されることになるだろう。将来、徴兵制が実施されることがあれば、当然、徴兵制のデータとして使われることになるだろう。マイナンバー制について私たち国民が知らないでいたのは、メディアが積極的に情報を流してこなかったことにあるのは明らかだ。そして、野党もマイナンバー制の問題点を国民に積極的に情報提供してきたとは言えない。
→いつの間にか、拡大する通信傍受法 広がる捜査の権限、“盗聴”した85%は事件に関係なし
「公益及び公の秩序」は、時の政府が判断
そして今、一番大切なことは、安倍首相が目論む憲法改正の中身について私たち国民が知ることだと思う。私が、憲法改正に反対するのは、自民党の憲法改正草案の内容がとんでもないものだからだ。現在の憲法は国民が権力を監視するものだが、自民党の改正草案は、個人の基本的人権が「公益及び公の秩序」により制限されることを認める内容になっている。
つまり、「公益及び公の秩序」は、時の政府が判断することになるから、現在で言えば、安倍政権が「公益及び公の秩序」について判断することになる。あなたは、安倍政権を信頼して判断をお任せできるだろうか。
→改憲派の憲法学者が安倍政権の改憲を批判する理由…愛国の義務化で“非国民”再教育制度が!
安保法制での最終決定者は総理大臣
安倍首相は、国際オリンピック委員会総会のプレゼンで「フクシマについてお案じの向きには、私から保証をいたします。状況は統御されています。さらに申し上げます。他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで、2020年東京大会は、その確実な実行が確証されたものとなります。」とスピーチしている。
→新国立競技場を五輪後、読売巨人の本拠地にする計画がひそかに進行中!? 安倍首相はペテン師か
この発言を真実だと思っている国民が現在いるだろうか。安倍首相は、表情を変えずに平気でウソが言える特異な才能(と言うより人格)の持ち主と言わざるを得ない。だから、国会でいくら「私は正しい。なぜなら首相だから」と答弁されても信じる訳にはいかない。安保法制での最終決定者は総理大臣だ。つまり、この法律の施行時の総理が安倍首相の確立が極めて高い。派兵の決定をこの方にお任せできるだろうか。
→「私は総理なのだから」…安倍首相“戦争法案”答弁の支離滅裂
→安保法案とは、そもそも何? わかりやすく解説【今さら聞けない】
→安保法制について考える前に、絶対に知っておきたい8つのこと - 伊勢崎賢治『戦場からの集団的自衛権入門』から
国民が白紙委任することなどできる状況ではない
国会も派兵の決定について現在のような自民党の一強政権のときに“抑止力”になるだろうか。無論、民主党なら信頼できるなどと言うつもりはない。そもそも現在の国会議員に憲法改正や違憲の可能性のある法案について国民が白紙委任することなどできる状況ではないと思う。あと何年かかるのか、あるいは永遠にその日は来ないかもしれないが、憲法改正については議論ができるレベルまで国会議員と国民が成熟するのを待つべきだと思う。
国民を舐めると大変なことになるよ!
武力は何も解決しないことは過去の歴史が証明済みだ。イラクやシリアへの介入が現在のテロの拡大を招いたことは間違いのない事実だと思う。中国の脅威があるとしても武力は、破壊と不幸しか国民にもたらさない。だから、法律を整備するにしても慎重に、国民にきちんと情報開示して進めてもらいたい。過去の歴史から学べない人たちは、愚かの一言に尽きる。思い上がるな、政治家よ!国民を舐めると大変なことになるよ!
→ついに鶴瓶が安保法制と安倍政権にNOを突きつけた!「お前なにをしとんねん!」「変な解釈絶対したらあかん」
官邸の願望の代弁者
安保法制採決後に野党を非難するジャーナリストや政治評論家がいる。いわく、「議会制民主主義の下で、国民が国会議員を選ぶのは自分たちに代わって国会で法案を審議し、最終的に採決してもらうためだ。なかでも採決はもっとも重要な国会議員の仕事である。それをサボタージュするのは、自分を選んでくれた『国民に対する裏切り』にほかならない。」
どこかで聞いたような言い回しだ。あの橋下市長の劣情トークとそっくりだ。橋下市長は審議拒否について「税金泥棒以外の何物でもない」と発言している。しかし、この記事を書いたのは、ジャーナリストの長谷川幸洋氏だ。
彼は、こうも言っている。「ずばり言えば、採決を拒否した野党議員は国会議員である資格がない。採決に応じないなら、辞職すべきである。」
さらに「今回の出来事は民主主義原理の根本を問うている。そんな本質を見極めないで『強行採決の暴挙』などと報じている左派系マスコミも、まったくトンチンカンとしか言いようがない。記者や論説委員は、採決欠席こそが民主主義に対する最大の暴挙だったと思わないのか。」
さらにさらに「同じ左派系マスコミは昨年の解散総選挙でも『解散に大義はない』と批判していた。国民に選択権が委ねられた選挙こそが民主主義の根幹と理解していなかった。今回も頭の中身、発想はまったく同じである。」
締めくくりが「本当の政策論議がなく、同じ三文芝居のやりとりが繰り返されるだけだから、やがてテレビも視聴率がとれずに注目しなくなる。加えて、本会議採決と同じ日に新国立競技場の計画見直しが明らかになった。遅きに失したとはいえ、これも政権にはプラス材料である。」
最後に本音がポロリ。新国立競技場の計画見直しが政権にプラスだとさ。メディアが積極的に報道しないのは視聴率の問題だけではない。報道自粛を強いている政権の圧力が存在することはもう明らかになっている。自民の敵は、敵ということだろうか。要は官邸の願望の代弁者なのだろう。ちなみにTBSの「新・情報7daysニュースキャスター」の「テレビを騒がせた 今週のニュースワードランキング」で「安全保障関連法案の採決」が一週間に検索された検索ワードのランキング1位にランクされている。
結果は、各紙の世論調査の内閣支持率が物語っている
だいたい国民の理解が進んでない法案を強行採決することに理があるのだろうか。野党が議決に出席しないことを批判しているが、安倍政権が与党単独採決の印象を国民に与えたくないために維新の党の採決への出席を画策していたことは周知の事実だ。与党の卑劣な策略に野党が乗ることをまともな国民なら誰も望んでいない。野党が全員出席して採決を行ったときは、議会制民主主義のルールに基づき採決したものだとアピールしていたに決まっている。出来レースに乗ることが必ずしも民意ではない。結果は、各紙の世論調査の内閣支持率が物語っている。
→安保法案、採決突き進む与党 「やるほど支持率落ちる」~自民は最後の最後まで、与党だけでの採決強行を避けようと、維新の取り込みを画策した。
→◎内閣支持、最低の40.1%=安保法案「説明不十分」7割-時事世論調査
→安保衆院採決「よくなかった」73% 共同通信調べ 支持率急落(日経新聞)
◇本社世論調査:内閣支持率急落35% 不支持51%(毎日新聞 2015年07月19日)~毎日新聞は17、18両日、安全保障関連法案の衆院通過を受けて緊急の全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は今月4、5両日の前回調査より7ポイント減の35%で、第2次安倍内閣発足後で最低となった。不支持率は前回より8ポイント増の51%と初めて半数に達した。与党が15日の衆院平和安全法制特別委員会で安保法案を強行採決したことについては「問題だ」との回答が68%で、「問題ではない」の24%を大きく上回った。安保法案への世論の批判は強まっており、政府・与党の一連の対応が内閣支持率を押し下げたとみられる。
◇47→37% 内閣支持率 急落 不支持が逆転、51%(東京新聞 2015年7月19日)~共同通信社が十七、十八両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、内閣支持率は37・7%で、前回六月の47・4%から9・7ポイント急落した。二〇一二年十二月の第二次安倍政権発足以降で最低。不支持率は51・6%(前回43・0%)と過半数に達し、比較できる同種の調査で初めて支持と不支持が逆転した。与党が十六日の衆院本会議で多くの野党が退席や欠席をする中、安全保障関連法案を採決したことに「よくなかった」との回答が73・3%を占めた。「よかった」は21・4%。今国会成立に反対が68・2%で前回から5・1ポイント増えた。賛成は24・6%だった。法案そのものに反対が61・5%と、賛成の27・5%を大きく上回った。
◇安保法案と世論 支持急落は国民の警鐘(2015年7月22日 東京新聞)~不支持理由で最も多かったのが「安倍晋三首相が信頼できない」(27・9%)で、安保法案の衆院採決強行を「よくなかった」と答えた人は73・3%に上る。安保法案が「違憲」との答えは56・6%、法案「反対」は61・5%、今国会成立「反対」は68・2%だ。
民主の委員会採決でのプラカード作戦も今回は、私は、特に不快とは感じなかった。昨年の解散総選挙について国民の多くが大義がないと感じていたことは紛れもない事実だ。マスコミの報道だけでなく、私の周囲の人、誰もが解散の理由が分からないと言っていた。それはそうだ。野党の体勢が整う前に抜き打ち解散することが目的だったのだから。政治はもともと卑劣なものだということを安倍首相は、自らそのお手本を示しただけだろう。解散については民主党の野田元首相の方がフェアだった。野田政権解散時には、安倍総裁が頼もしく見えたが、それはすべてウソと化粧によるものだったようだ。
アベノミクスは憲法改正が“天命”の安倍首相の利益誘導お友達政策
自民党政権奪回後の国政運営も結局、民主党政権と大差なかった気がする。日本年金機構の年金情報の流出で明らかになった、相変わらずの組織運営の杜撰さが安倍政権の管理能力の低さを露呈しているように思う。解散総選挙後の「イスラム国」人質事件で明らかになった安倍政権の隠蔽体質と憲法改正の野望を考えると、自民党政権が早く終わって欲しいと私は願っている。どちらがましかと言えば、まだ民主党の方が現在はましだと思える。維新は論外。
→安田純平氏のシリア拘束で政府は? 懸念されるイスラム国人質事件の対応の繰り返し
アベノミクスは、結局、憲法改正が“天命”の安倍首相の利益誘導お友達政策にすぎなかったようだ。際限のない金融緩和で円安が進行し、年金資金と日銀資金を使った官製相場で株価は高値を維持しているが、いつまでもこの状態を維持できるはずはないのは自明だ。
→長期で成果出す公的年金に~年金積立金の原資は国民の保険料だ。年金受給者の長期的な利益に資するため、運用も長期的視点で安全かつ効率的に進めることが大原則となる。
円安、復興減税の期間短縮と法人税減税で大企業の利益と剰余金は増えたが、その資金の大半は、配当と役員報酬の大盤振る舞い、そしてM&Aで社外流出しただけではないだろうか。日本企業の国際競争力が高まったとはとても言えない。庶民は、実質所得が減る一方だ。一部大企業の従業員以外の中間層の所得は下がり続けているので景気が良くなる訳がない。
→異常な超高額報酬を得る経営トップたち、なぜ?ソフトバンク165億、オリックス54億…
現世代の飲み食いのツケを後世に回すものだ
公約の福島の復興も原発の汚染水処理も4年経った今も大きく進展したとは言えない。国民の多くが望んでいない原発の再稼働の準備だけは着々と進んでいるのは皮肉なことだ。使用済み燃料の処理はどうするのだろうか。将来的には、電力を産まない原発設備を膨大なコストと期間をかけて廃炉処理せざるを得ないから後世に負の遺産を先送りすることになる。そして廃炉費用は後世の人が電気料金として負担することになる。
新国立競技場も計画変更しなければ、後世の重い負担になっていただろう。森元首相のメンツや説得などという問題は、国民には何の関係もない。自分のお友達たちの過ちに甘いのは、そのつながりが支持者との関係以上ではないからだろう。安倍政権の政策のツケは未来の負のレガシーとして歴史に刻まれるはずだ。
→新国立競技場「白紙」宣言の安倍首相に親分・森喜朗が「おまえもいっただろ」と責任追及
そもそも日本は、これから世界でも例のない少子高齢化社会になることが確実であり、社会保障費負担は増え続け、下水道管、道路、橋、公共施設等々の膨大なインフラの更新費用に加えて、そもそも軍備増強のために軍事費にお金を投じる余裕などないはずだ。さらに安保法制の成立で将来的に国民に兵役の義務が課されるようなことになれば、若者やその後の後世の人々に多大なツケを残すことになる。安倍政権のやっていることは、現世代の飲み食いのツケを後世に回すものだ。
そして最大のリスクは、安倍首相が憲法改正しか興味がないことだ。なんでこんなオタク政治家が日本の総理なのだろうか。国民皆でノーと言おう!
安倍政権の御用ジャーナリスト
長谷川幸洋氏は、安倍政権の御用ジャーナリストのようだ。政権に関係する記事をいつもタイミングよく、発信しており、どれも読むに堪えられない政権の擁護記事ばかりだ。安倍政権から“中立公平”な記事を書くことを求められていないのだろうか?右寄り(耳寄りではない)情報を読みたくなったら、産経新聞か、読売新聞を購読するべきだと思う。そしてジャーナリストの記事なら長谷川幸洋氏の記事が右寄りの人には心地よいだろう。
<長谷川幸洋氏の最近の右寄り情報~長谷川幸洋「ニュースの深層」より>
→プラカードを掲げるぐらいなら、議員辞職せよ 国民を裏切ったのは政府ではなくお粗末な野党だ
→政治家・橋下徹はいずれ復活する。維新よりも民主党が党分裂にふさわしい
→「正社員を望む」派遣をブチ切れさせた 東京新聞・長谷川氏コラムが話題
長谷川氏は上記の「政治家・橋下徹はいずれ復活する。維新よりも民主党が党分裂にふさわしい」と記事の中で「住民投票で負けたのは『主張が正しくなかった』からではない。正しい政策を受け入れるだけ、大阪市民の理解と決意が十分に熟していなかった。」とまるで大阪市民に原因があるように書いている。こうした発言からすると安保法制についても理解が進まないのは国民に原因があると言い出す日が来るように思う。
そして最もビックリしたのは「大胆な改革を進めるには、正しい政策を示すだけでは十分ではない。官僚や他政党、労組、業界団体、マスコミなど改革に抵抗する勢力を上手にコントロールしなければならない。」と語っていることだ。安倍首相のメディアコントロールを始めとした圧力と利益誘導を手本にすべきだと言っているようだ。私たち国民は上手にコントロールされた情報をつかまされないように注意する必要がある。
→安倍政権が女性自衛官のブログを強制削除! 慰安婦問題報告者のクマラスワミ氏と会食しただけで「反日」と…言論取締りの異常
維新の党について「もともと都構想実現のためにできた大阪維新の会であり、維新の党も同じ路線を受け継いで掲げた政策なのだから、いまさら深刻な路線対立は起きようがない。そうであれば党の分裂もないし、それを契機にした野党再編もない、とみるのが自然である。」と主張している。しかし、現実には、橋下市長は、地域政党「大阪維新の会」に対して上部政党にあたる「維新の党」からの離脱に向けた準備をしておくよう」指示し、「大阪維新が国政政党として、いつでも自立できるよう準備しておくように」呼びかけたと伝えられている。
長谷川氏の主張は、願望(実際は、官邸の願望の代弁)にすぎなかったようだ。つまり、長谷川氏の記事自体が、官邸の意図する国民に対する情報コントロールを目的にしたものなのだろう。
「安倍首相もそうだが、失敗を経験した政治家こそ貴重である。」と締めくくっている。しかし、失敗で学んだのは、利益誘導と圧力で国民に対する情報を遮断することだったのではないだろうか。しかし、これまで無関心だった若者が、安倍政権が現在押し進めている様々な法整備と制度変更が自分たちの未来を左右する重要な問題だと気が付いて動き出している。私は、多くの若者が自分たちの未来について真剣に考えて欲しいと思う。是非、おかしなことにノーと言って欲しいと思う。国会を取り巻いた若者の勇気を素直な気持ちでいいことだと思っている。大切なことは、継続することだと思う。
私は、今、自民党も公明党も一切信用してない。そして、維新の党も隠れ与党だと思っている。安保法制の強行採決で欠席することで法案に反対の意思を示した自民党の議員は2名にすぎない。起立方式の採決が取られたので議員一人一人の意思は確認できない。今後、自民党が窮地に追い込まれたときに自分は、本当は、法案には、反対だったなどという言い訳は通用しない。仮にそれが事実だとしてもイジメの現場を黙認しながら同調圧に負けて見て見ぬ振りをする輩と変わらない。最も卑劣な行為だと思う。
→公明党元幹部 安保強行採決に「公明党の行動は万死に値する」と怒り
石破茂議員や小泉進次郎議員は強行採決前後に自民党の対応について反省するようなコメントをしているが、私にはガス抜き発言としか聞こえなかった。石破氏は、自民党の憲法草案に大きな役割を果たしているようだし、「日本が明治憲法下で軍事5大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したいという思いの人が集まっている」右翼団体の日本会議のメンバーでもある。そんな思想の持ち主の言葉を信用することはできない。
→【安保法制】石破茂氏「国民の理解が進んだと言い切る自信はない」発言が波紋
→強行採決に「異論」 石破茂&塩崎恭久2大臣の“計算と思惑”
→ピンチはチャンスです!! ピンチと言えば新しい国立競技場も・・・(小泉進次郎政務官)~仙北市シンポジウムより
その石破氏を前回の総裁選で小泉進次郎氏は推している。安保法制に賛成だから強行採決に出席したわけであり、小泉進次郎議員に対する期待は、すっかり冷え切ってしまった。
石破氏は、最近、ブログで強行採決の正当性を主張するとともに右寄りのジャーナリストと同じような論法で民主党の岡田代表を攻撃している。
「政府とてもちろん無謬ではなく、今後の参議院における審議では更なる工夫がなされることかと思いますが、手に手に紙を持って委員長席に詰め寄るあの姿を見ていて、実に暗澹たる思いが致しました。維新の対案が出てきたのは審議も大詰めに近づいてからでしたし、民主党に至っては領域警備以外の対案すら出さない有り様で、これで政党や国会議員の職責を果たしていると本当に思っているのでしょうか。」
「審議も大詰め」と書いており、国民の理解が深まっていないという世論に触れることなく、委員会採決で民主党がプラカードを掲げたという安保法制の議論とは、無関係の問題で野党を攻撃している。前出の「プラカードを掲げるぐらいなら、議員辞職せよ 国民を裏切ったのは政府ではなくお粗末な野党だ」という記事を書いたジャーナリストの長谷川幸洋氏の論法とまったく変わらない「なんか自民党、感じが悪いよね」と思ってしまう。
さらに「『今回の法制は立憲主義の破壊である』という主張も似たようなもので、立憲主義とは『憲法が権力を拘束するもの』であると共に『三権分立が機能すること』も不可欠の要素です。」と発言しており、これは自民党憲法草案の個人の基本的人権が「公益及び公の秩序」により制限されるという考え方を肯定するものだと思う。
そもそも数の力で強行採決という最悪の手段に出たことに国民は強い怒りを感じていることが分かっていない。それなのに「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的または集団的自衛の権利を害するものではない。」という国連憲章の条項を持ち出し、知らないから教えてやるという本当に「感じが悪いよね」だ。
「もし本気で『集団的自衛権は戦争につながる邪悪なものだ』と信じているのならば」云々と言っているが、私たち国民は、地球の裏側まで自衛隊を派遣させたくないと思っており、日本が武力行使をしたときに相手国の憎しみを買い、テロに巻き込まれる危険や海外で活躍している日本人ボランティアの身の危険を一番心配している。9.11事件も米国の軍事介入が産み出したものであり、武力は何も解決しないからだ。
→田原×鳥越対談「米軍と共に戦うと、新幹線テロが起こる」(鳥越)
「軍事オタク」や「防衛オタク」の言うことに共感できない。武力を行使しないということも立派な勇気だと思う。私は、もし若者が戦場に行くようなことがあれば、是非、敵前逃亡する勇気を持って欲しいと思う。人を殺す狂気より、人を殺さない勇気を持って欲しい。
石破氏は「自民党きっての外交・安全保障の論客、政策通」だそうだが、私は、〇〇通と言われる、上から目線の人が嫌いだ。おそらく、国民には安保法制など理解できるわけがないと思っていることだろう。安保法制に対する国民の理解が進まないのは、自民党ではなく、国民に原因があると本心では思っているのではないだろうか。私は、法案より自民党に不安を感じており、防衛問題を自民党に白紙委任したいとは思っていない。とりわけ、安倍首相だけは絶対ご免だと思っている。
私は、今、この文書を作成しながら、民主党より自民党が嫌いだと本心で思っている自分に気が付いた。民主党政権のときは、怒りとうんざりという気持ちだったが、自民党に対しては怒りを越えて憎しみを感じている。「安倍さん、おかしいよね」 おしまい
(追記)プロが指摘する安保法案の問題点の分かりやすい説明
〇プロから見て「安保法案」は何が問題なのか 法律の中身と首相の発言にズレがある
*これまで「脅威」は我が国の領域とその周辺で発生することが「周辺事態法」で定められてきた。それに対し、改正法案(重要影響事態法)は「我が国の領域とその周辺」という限定を削除した。
*「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と説明される「存立危機事態」だ。これこそが集団的自衛権の行使が問題となる場合である。
*この文言は、「存立危機事態」として認める要件を厳格にしたと説明されるが、実は、こうすることにより、他国に対する武力攻撃であっても日本に対する脅威とみなし、これに対する対処は「自衛」であるという理論構成を維持できるようにしたわけだ。私は、「存立危機事態」は、他国に対する攻撃と日本に対する攻撃のハイブリッドだと思う。
*自衛隊の行動する「場所」について。改正法案は、脅威の発生する範囲の拡大にともなって、世界のどこでも自衛隊が行動できるようにした。また、他国に対する武力攻撃であっても「存立危機事態」であれば自衛隊は「武力攻撃を排除」しなければならないと定めている。
*自衛隊が行動する場所を明記しているのではないが、「武力攻撃を排除」するためには武力攻撃された国の領域へ行かなければならないのは当然だ。安倍首相はじめ政府関係者は自衛隊が他国の領域に出ていくことはないと答弁しているのだが、改正法の記載と整合性がとれていない。
*「重要影響事態」の場合、自衛隊が行なうのは後方地域支援や捜索・救助など比較的軽いことである。一方の「存立危機事態」では、「攻撃を排除するために必要な武力の行使、部隊等の展開」など非常に重いことができるようになっている。「必要な武力の行使」とあるのだから、武器の使用が含まれる。つまり自衛隊は世界中のどこでも武力行使をできるようになるわけだ。
*今回の安全保障関連法案は、詰められていない論点が、あまりにも多いのである。
(追記2)気になったこと 世論調査の設問に疑問?
「産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が18、19両日に実施した合同世論調査によると、第2次安倍晋三内閣の支持率と不支持率が初めて逆転した。」と7月20日付の産経新聞は、伝える一方、「これまでの国会審議で野党が果たした役割については『あまり評価しない』が48%、『まったく評価しない』が20・3%だった。」と報じている。
この記事を読むと私の前回のブログ「知る権利~メディアは、国民に正しい情報を発信できるだろうか…私の提案」で取り上げた世論調査が設問の作り方や言い回しで回答が変わってくるという問題があるように思う。例えば、回答の選択肢を肯定系2つと否定1つとした場合、肯定系が多くなること、質問文の表現でも回答を誘導することができるという問題だ。
今回の産経の記事は、ネットには、質問項目の内容が掲載されていないので、選択肢の数は、3択なのか、4択なのか分からないが、もし3択なら、否定形が2つで肯定が1つとなるので、否定形の回答が多くなった可能性がある。しかも、「評価する」とした回答のポイントが載っていない。しかし、否定形が70%弱なので20~30%の「評価する」という回答があった可能性があり、「まったく評価しない」という回答より多かったことが考えられる。「あまり評価しない」という選択肢をある程度は評価するという意味で回答して人もいるだろう。
読売新聞は、過去の世論調査で「読売と産経の調査では、3択で聞いたため、中間的な選択肢に回答が集まったとみることもできる」と中間的な選択肢に回答が集まることを認めている。今回の調査も、中間的な選択肢である「あまり評価しない」という選択肢に半分近く集中している。さらに「これまでの国会審議で野党が果たした役割について」という表現が、安保法案全般についてなのか、国会での全体的な審議についてなのか曖昧であり、緊急の世論調査に何のためにこんな質問を入れたのだろうか。
こんな質問をするなら、「国会審議で政府や与党議員の果たした役割について」も聞くべきではないだろうか。だいたい野党議員の役割という言葉自体があいまいなように思う。それとも、法案の修正にも応じない欠陥法案を前向きに審議するのが野党の役割だとでも言うのだろうか。
国民が知りたいのは、多くの国民が反対している安保法案の採決に対する世論を知りたいはずだ。他社の世論調査は、法案の採決についてストレートに2択で質問している。国民は、安保法案の成立自体に反対しているのであって、野党の姿勢を問題にしている訳ではない。極論すれば、野党の審議の巧拙は二の次の問題だ。安倍首相の説明に納得できないから、一般の国民も怒っていることは、メディアも分かっているはずだ。一部の左寄りの人々だけが騒いでいるわけではない。
そもそも法案が国民に理解されないことを承知の上で、10本の法案を1本にまとめたり、メディアに圧力をかけて、国民が理解しないまま、法案を通してしまいたいというのが政権や自民党、そして公明党の思惑だったことぐらい、良識のある国民はとうの昔に気づいている。だから国民の理解が深まることなど、最初から政権は期待してなかったはずだ。むしろ、国民が理解して騒ぐのが怖かったのだろう。
法案10本を1本にまとめれば、国会での審議時間は、見かけは長いように見えるが、審議の時短につながり、効率的だとでも政権は言うのだろうか?官邸主導の早朝出勤の一環なのだろうか。音声明瞭、意味不明の壊れたテープレコーダーのような安倍首相の答弁が繰り返されたのは、想定内だったように思う。
反対されたくないから審議の形式だけ取り繕って、野党の審議拒否やプラカード攻勢の姿に国民の批判の矛先を向けたかったのだろう。まともな国民は、そんなことはお見通しだ。「自民党、感じ悪いよね」だ。安倍首相のヤジの方がよっぽど一国の首相として情けない行為だ。国会でヤジを飛ばすような首相に対しては、国会議員は内閣不信任決議案を提出するべきだとジャーナリストの長谷川幸洋氏なら言うだろう?日本の威信のためにも良識ある人なら、辞任してもおかしくないはずだ。
さらに産経新聞の記事は「安倍首相が新国立競技場の建設計画を白紙撤回したことについては『大いに評価する』と『やや評価する』を合わせて83・9%にのぼった。」と報じているが、これも3択の質問なのだろうか。しかも、今度は、肯定形2択と否定1択の質問形式になっているのだろうか。評価するという回答が多くなることを意図したのだろうか。
読売新聞は、先程の中間的な選択肢の問題で「中立にみえる世論調査も、各社の意図で結果が左右される場合があるのだ」ということを認めている。世論調査のこうした問題点を知りながら、結論ありきの世論操作を続けるメディアを国民はどうして信頼できるだろうか。産経新聞と読売新聞、そしてフジテレビが政権よりの情報を流していることは、もう周知の事実だ。安倍首相の言う「情けないメディア」には、石破茂・地方創生相なら「感じ悪いよね」と言うことだろう。
フジテレビに続いて読売系列BS日テレにも安倍首相が、最近、出演した。安倍政権御用メディア=(読売新聞+日テレ)+(フジテレビ+産経新聞)ということのようだ。視聴率が低迷しているフジテレビにとって時の人である安倍首相のテレビ出演は、今後の同社の視聴率アップにつながるのか、足を引っ張られることになるのか注目される!
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(追記3)産経新聞 ここが凄い! 延々18頁に及ぶ安倍首相の悪口切りを転載!
安倍政権や自民党が産経新聞の悪口を言うのを聞いたことがない。仲が良いのだろうな。国民やメディアの攻撃で苦境に立つ安倍首相の状況を「存立危機事態」に該当すると産経新聞は判断したようだ。産経新聞は、安倍政権に対する批判が「産経新聞の存立が脅かされ、記者の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と判断し、ついに集団的自衛権を発動した。しかし、読むにはあまりにも文章が長すぎるため、私は途中で撤退した。読み通すには相当の忍耐力が必要だ。相手から読む気力を奪い、反撃をさせない抑止力には脱帽だ!しかし、戦争に加担した代償の大きいことがいずれ証明されることになるだろう。
→どちらが「反知性主義」なのか? 安倍首相の悪口を言いたいだけの知識人を糺す
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