提灯報道
先程、フジテレビのワイドショー「直撃live グッディ」で労働者派遣法改正案の審議をめぐり、国会の委員室前で自民の入室を防ごうとする民主の議員の様子が映し出されていた。
番組では、改正派遣法案は見方で変わると説明していたが、コメンテーターは、非正規で働きたいと思う人も多いという論旨で法案を説明していた。そこで使われた「非正規で働きたい十数%の人」というデータの根拠や法案のデメリットについては触れていなかった。
→長谷川幸洋氏のコラムが物議 派遣社員から反発の声相次ぐ~「派遣というと『みんな正社員を望んでいるはず』と思いがちだが、実はそうでもない」
これは、単なる政権に対する提灯報道だろう。自民党が要請した、公平中立に反するのではないだろうか。政権に有利な報道をした場合は、誰が、メディアに公正中立の要請をするのだろうか?片手落ちではないだろうか。
→グッディ!」過去最低1・1%にフジ社長「一番こたえているのは現場」
公平中立の判断は視聴者がすべきもの
この間、NHKで地方創生の目玉だという「プレミアム付き商品券」の報道をしていた。こちらは、自民党の注文通り、賛成する声と効果を否定する声を忠実に按分して報道していた。しかし、滑稽でもあった。「プレミアム付き商品券」が行列が出来る程、飛ぶように売れている状況を前半で報道した後、後半では過疎が進む地方では使う場所が限られているのでほとんど売れていない状況が紹介されていた。また、プレミアム付き商品券を購入した人が日常の買い物で使うと答えており、販売店側も一過性の販売増にしかつながっていないと答えていた。映像や意見を按分して報道しても、まともな視聴者なら報道を見てプレミアム付き商品券は、やはりバラマキに過ぎないと感じたと思う。
→プレミアム付き商品券の経済効果は 多額の税金投入、ばらまき懸念も
すべては改憲のため
だから、自民党のメディアに対する公正中立要請は、政権を批判するような報道をするなとマスコミに注文を付けただけのように思う。自民党の底の浅さを示しているのだろう。野党に落ちて学んだのは、国民に対する情報を遮断することが政権維持に欠かせないという認識だったのだろうか。過半数を握った政権が、利益誘導と人事権、そして認可権等の行政権を最大限活用して安倍首相の改憲を目標とした国を改変する行為が進められている。安倍首相は、改憲のためなら誰とでもバーター取引をする確信犯のようだ。すべての政策は、改憲のため。
→安倍政権の靖国参拝、憲法改正、愛国教育、歴史修正主義の背後に日本会議あり~Euronews が「Five issues that feed the WWII debate in Japan」という記事で、やはり日本会議を紹介していますが、480人の国会議員のうち289人が日本会議のメンバーであり、安倍内閣の閣僚にいたっては18人中15人が日本会議のメンバーであると、その影響力の大きさを指摘しています。
→「日本会議」84%、「神道議連」95%、「靖国議連」84%・・・チャートで一目瞭然「第2次安倍晋三改造内閣の超タカ派の大臣たち」(俵義文氏提供)
政権の政策を批判することに公平中立などという概念は存在しない
視聴率の低迷で営業不振のフジテレビには、政権の意向に反する体力も知力もないのだろう。本来、政権の政策を批判することに公平中立などという概念は存在するはずもない。政権は、仮にマスコミが行き過ぎた報道をしたとしても圧倒的な情報と人・モノ・カネ、そして権力を握っており、いくらでも反論できる立場にある。権力の暴走を抑制するための情報を国民に伝えるのがメディアの役目だろう。日頃、国民の知る権利を守ることがメディアの役割だと言っているメディアは、国民に対する義務をきちんと果たして欲しい。言論の自由や表現の自由は、基本的人権の侵害に当たるような場合だけ制約を受けるべきだろう。その場合でも政権や官僚に対する報道については、表現の自由に対する制約は限られたものになるべきだ。
→フジ末期症状…現役アナ自虐発言連発 「誰も見てない」「挽回はもう無理」
●民放連:会長「放送局聴取は行き過ぎ」 自民を批判(2015年6月13日 毎日新聞)~「個別の番組で政党が放送事業者を呼ぶのは行き過ぎだ」と批判、「番組の問題を公の場で説明することが必要な場合は民放連が対応する」と述べた。
まだコメントはありません。