「賃上げの花」?
安部首相は、官邸の南庭で秘書官らと花見をして「賃上げの花が舞い散る春の風」と自前の俳句を披露し、18日には 首相主催の「桜を見る会」で「桜咲くように賃上げ実現」を強調したが、庶民の実感とは、ほど遠いように思う。
→まやかしのベアに騙されるな! 40代後半以降の給与は下がり始める 白川浩道・クレディ・スイス証券チーフ・エコノミストに賃金・雇用動向を聞く
→春闘の賃上げ、恩恵を受けたのは誰なのか 賃上げ幅急拡大に隠されたカラクリ
→縮む家計 それでも膨らむ出費は ~家計が縮小している。総務省の「家計調査」によると、全国の2人以上世帯の平均年収は2002 ~ 14年で1割減。消費支出も5%減った。
→"実質賃金"、3月確報で2.7%減に下方修正--2014年度は過去最大の下げ幅
→賃金労働者への実質的な分配率が大幅低下 実質賃金水準と1人当たり実質GDPの推移から見えてくるもの
私たちが普段、買い物をする総合スーパーは軒並み、消費税増税と円安による仕入れ価格高騰の影響で売れ行き不振が続いている。スーパーに行っても活気が感じられない。原価低減のためか、昔に比べ、仕入れ商品の種類が売り場から減っており、買いたい商品がどんどんなくなっているように思う。かと言って価格の安い中国産の野菜や鮮魚を買う気にはなれない。公害の影響で中国の畑の汚染が進んでいることをニュースが伝えていた。
→イオン撃沈!やっぱり下方修正で光明見えず GMS、食品スーパー、コンビニなどが不振
→食品・日用品の値上げ続々、円安で企業負担増大 ロッテのチョコは41年ぶり
景気に大きく左右される外食産業は、人手不足と人件費の高騰、そして仕入原価の上昇でやはり元気がないように思う。居酒屋に行っても以前に比べ、お客が少ないと感じることが多い。
この間、夕方の銀座を歩いていたら、高そうな和服を着た、きれいなホステスさんが出勤する光景を何度も見かけた。中には、同伴客と覚しき年配の男性を引き連れているホステスさんもいた。株高や円安で儲けた富裕層は、アベノミクスの恩恵を受けているのだろう。デパートも円安により増えた海外旅行者や富裕層による高額商品の販売が増加しているという。デフレは景気回復の足を引っ張るというが、デフレは経済成長に関係ないという調査もある。
→なぜ安倍政権は間違った政策をやめないのか~「エネルギー革命の果実」を享受できない日本
自民党は、テレ朝の「報道ステーション」に対して「アベノミクスの効果が大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく断定する内容」の報道をしたとして「公平中立な番組作成」を要請する文書を選挙前にテレ朝に出していたことが露見したが、アベノミクスが特定の大企業や富裕層にしか及んでないと感じている国民が大半のように思う。
→2014年度の賃金は前年割れだった! 「官製」春闘の効果は薄く、2015年度にも不安
→アベノミクスで貧困拡大という真実 非正規雇用・年収200万以下・生活保護が増加
→『週刊東洋経済』「貧困の罠」特集が指摘する、政府のデフレ脱却論と厚労省の生活保護基準引き下げの矛盾
→“貧困の母”はまだ救われていない――生活保護受給者「過去最高」の知られざる真実
→安倍政権の偏向税制 一部業種を突出して優遇、控除適用額に28倍の開きも
10年前は、ネット売買が盛り上がり、多くの個人投資家が、株式投資に参入したが、大半の個人投資家は、痛い目にあった。だから、今回のアベノミクスによる株高でも個人投資家の投資は増えていない。私の周囲でも株式投資に浮かれている人はいない。現在、株価が2万円前後で高止まりしているのは、年金資金や日銀が買い支えていることによることは周知の事実になっている。今後、さらに上昇することがあったとしてもいずれ海外資金が売り抜けるときが来るのは目に見えているように思う。
アベノミクスは、政府が作った局所バブルに過ぎないように思う。アベノミクスが躓いたときに自民党は、現在、アベノミクスの見返りとして言論の自由さえ踏みにじり、なり振り構わず進めている国民が望でいない防衛政策や原発政策についての責任を国民から手厳しく追及されることになるだろう。
→ギリシャ6月危機にみる債務大国ニッポンの未来
~政府債務がGDP比で240%に迫る日本では、日銀が異次元の量的緩和を実施し、長期国債の保有残高を毎年80兆円ずつ増やしている。安倍政権は今月末に財政健全化計画を決めるが、成長見通しがあり得ないほど甘い。…円安誘導で国内に賃上げと設備投資の好循環を定着させることができるのか。インフレによって政府債務の対GDP比を抑え、経済成長と税収増でプライマリーバランスの黒字化を図るという黒魔術が奏功するかどうかは誰にも分からない。
最近、田原総一朗氏がいいことを言っていた。『このところ政府がやろうとしていることに「ビジョン、戦略、そしてカルチャー」が欠けているように感じる。 』として「脱時間給」制度、労働者派遣改正案、解雇の金銭補償、集団的自衛権行使の問題について言及している。私も田原氏の指摘が正しいと思う。
→田原総一朗の政財界「ここだけの話」~政府に「ビジョン、戦略、カルチャー」が欠けている
ならば、国民は何を望んでいるのだろうか。その答えは、奇しくも内閣府が実施した社会意識に関する世論調査(平成27年1月)に表れているように思う。調査結果は、一般の国民の気持ちが素直に表れているように思う。「平和と治安の維持」、「自然環境の保護」、「文化や芸術の継承」、「生活環境の保持」、「経済的なゆとり」、「若者が自立しやすい社会」、「物価の安定」、そして「健全な財政の確立」を国民は望んでいるように思う。
→黙殺される河野太郎議員が明らかにした「不都合な真実」 23年度以降は財政悪化との衝撃試算
→新国立競技場、本当に建てていいの? 建築に1700億円、維持に年間35億円
日経が3月に実施した「世論調査」では、今国会での集団的自衛権の行使を可能にするための関連法案の成立を51%の回答者が望まないと回答している。読売が4月3~5日に実施した全国世論調査でも53%が反対しており、「政府・与党が新たな安全保障法制を十分に説明していないとした人は81%に達する」と報じている。
→マスメディアに対する不信Ⅲ~知らなかった!(私の過去のブログ)
さらに、日経の調査では、回答者の77%が世帯収入の増加について期待できないと回答している。47%の人がアベノミクスによって今後、景気がよくなるとは思わないとしており、景気がよくなると答えたのは36%に過ぎない。また、61%が安倍政権の「政治とカネ」の問題への取組が適切でないと答えており、国民の関心が高いことがわかる。原発の再稼働を進めるべきでないと61%の人が回答している。
→村上春樹が原発推進派を徹底論破! 15万人の人生を踏みつける“効率”に何の意味がある?
こうしたことから、「アベノミクスの効果が大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく断定する内容」として自民党が「報道ステーション」に出した文書は現実をゆがめ、国民の知る権利を奪おうとするものであり、国民の負託を裏切る行為だと思う。
<内閣府が実施した「社会意識に関する世論調査(平成27年1月)」>
□社会の現状に対する認識についての調査結果(Q8~Q16)
*30ポイントを超えるものを抽出
〇現在の世相の明るいイメージ(Q8)
(59.9) 平和である
〇現在の世相の暗いイメージ(Q9)
(39.5) 無責任の風潮がつよい
(36.4) 自分本位である
(34.8) ゆとりがない
〇日本の国や国民について,誇りに思うこと(Q10)
(56.8) 治安のよさ
(54.0) 美しい自然
(49.5) すぐれた文化や芸術
(46.0) 長い歴史と伝統
(42.4) 国民の勤勉さ,才能
(37.1) 国民の人情味や義理がたさ
(30.4) 自由で平和な社会
〇現在の社会において満足している点(Q11)
(41.1) 良質な生活環境が整っている
〇現在の社会において満足していない点(Q12)
(46.9) 経済的なゆとりと見通しが持てない
(40.1) 若者が社会での自立を目指しにくい
〇現在の社会に全体として満足か(Q13)
(52.2) やや満足している
(33.0) あまり満足していない
〇国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思うか(Q14)
(54.5) あまり反映されていない
〇良い方向に向かっていると思われる分野(Q15)
(30.1) 科学技術
〇悪い方向に向かっていると思われる分野(Q16)
(39.0) 国の財政
(31.3) 物価
(30.3) 景気
(追記)
日経が4月17~19日に実施した世論調査が公表されたが、回答者が優先して欲しい政策課題として挙げた項目は、年金などの社会保障(55%)、景気対策(42%)、財政再建(29%)だ。内閣府の調査では、「国の財政」(39%)を心配する回答者が多かったが、内閣府の質問項目には「年金」という言葉は使われておらず、医療・福祉(16.9%)という選択項目が提示されている。おそらく、「国の財政」を選択した回答者の多くは年金問題を念頭において回答したと思われるので、「国の財政+医療・福祉」が日経の調査の「年金などの社会保障」と重なるのではないだろうか。やはり、年金問題が国民の最大の関心事なのだろう。
→優先処理してほしい課題、「社会保障」55%で最多 本社世論調査
→IoT革命:マイナンバーで金融資産課税も俎上に=伊藤・東大院教授~政府が財政再建を進める中で、マイナンバー制度を活用した国民の金融資産の捕捉と資産課税に向けた議論を進める必要性もあると述べた。
(追記2)
4月18、19日に朝日新聞が実施した世論調査(有権者を対象に、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式)が公表された。回答者の支持政党の第3位は共産党だ。その次が公明、維新、社民の順となっている。衆院選、地方統一選前半戦で共産党は躍進している。躍進の理由は、多くの国民が他に投票したい野党が存在しないということだろうと思う。安倍政権の改憲と防衛政策に反対する人たちにとって、明確に反対の方針を表明しているまともな政党はどこかと考えたときに、共産党以外に現在のところ選択肢がないように思う。
→改憲の動き強める政権、改正論者も疑問 識者3人に聞く~自民の草案には、家族の助け合いまで書いてある。道徳をも縛ろうとする憲法観はひどすぎます。
→衆参両院の憲法審査会に参加9党、見解を聞く~我々(維新の党)はよく、安倍政権が目指す憲法改正の「補完勢力」などと言われるが、「率先勢力」だ。このままでは国力がずるずると下がり続けてしまう。
維新は、橋本氏が安倍政権の改憲政策に協力することを表明しており、与党第2党の座を維新に脅かされたくない公明党は、防衛政策で妥協を始めている。そして、民主党は、賛成派と反対派が入り交じっており、相変わらず、内部分裂状態で国民が信頼できるレベルに達していない。
「情けないメディア」と「情けない野党」が安部お坊ちゃま政権に鼻であしらわれているようだ。鳩山お坊ちゃまは宇宙人だったが、安部お坊ちゃまは戦前の青年将校の亡霊なのかもしれない。いずれにしろ庶民には、理解の及ばない異次元からやって来た異性体のようだ。庶民から見れば滑稽だが、ご本人は、本気なのだろう。とても怖いことだ。突然変異の右滑稽(うこっけい)に日本の未来を委ねていいのだろうか?
→佐藤優が改憲へ暴走する安倍に痛烈皮肉!「安倍首相は山本太郎と同じポエム体質」
<朝日新聞の世論調査の抜粋>
◆今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。(全国ベースの回答)
自民36(38)▽民主7(8)▽維新3(2)▽公明4(3)▽共産5(3)▽社民1(1)▽生活0(0)▽次世代0(0)▽太陽0(0)▽元気0(0)▽改革0(0)▽その他の政党0(0)▽支持政党なし34(37)▽答えない・分からない10(8)
まだコメントはありません。