解散総選挙
最近、本当に尊敬できる人が少なくなったように思う。政治も企業もどっちがましかという人たちばかりのように思う。民主党が政権を取ったときは、やっと新しい時代が始まるような興奮を覚えたが、その後の迷走は目も当てられないものだった。はっきり言って無能のひと言に尽きる。それどころか、今後、日本は本当にどうなるのだろうかと真剣に考えた。だから安倍政権が誕生したときはほっとした。しかし、安倍政権を積極的に支持したわけではないし、その政策に共感もしていない。
しかし、民主党の幼稚な政治には、心底、不安に感じていたので自民党に1票入れた。前回の選挙はどっちがましかという選挙だったが、今回の選挙はどの人がまともかという選挙のように思う。昨日の安倍首相の解散表明演説を聞くまでは、私は、投票に行くのを止めようと思っていたが、演説を聞いて自民党と民主党以外の候補に投票しようと現在思っている。
真摯ということ
私は、共感できる人と共感できない人を自分がどうやって区別しているのかということを考えた。そして、その基準が「真摯である」か、「真摯でない」かという極めて単純なものだったことに気づいた。
リーダーの条件を私は、使命感、一貫性、真摯の3つだと考えている。民主党については、すべて欠如しているように思う。安倍首相は使命感と一貫性はあるように思う。しかし、真摯かというとずっと疑問に思っていた。首相は、よく真摯にという言葉を使うが、何か心に響かないなと感じていた。
東北の復興についても第一優先と言っていたが、一向に進んでいない。原発を再稼働すると言うが、使用済み燃料をどうするのだろうか。廃炉の莫大な費用はどうするのだろうか。そして、原発の燃料は後、何年持つのだろうか。原発を動かさないのは、経済政策において無責任だと言うが、以上のような問題に何も答えない人が真摯と言えるだろうか。
ダイヤモンドに掲載された上久保誠人氏の記事は、私の思っていたことが書かれているように思う。つまり、安倍首相が一番実現したい政策を以下のように指摘している。
「やりたい政策」とはいうまでもない。「集団的自衛権行使」「憲法改正」など安全保障政策、そして「原発再稼働」である。13年7月の参院選以上に、今回の衆院選で安倍首相は、これら重要課題の争点化を徹底的に避けるように思う。
ただ、沖縄の米軍基地問題については、普天間基地の負担軽減のためには辺野古への基地移転は、避けられない選択なのかもしれないと思う。仮に米軍が沖縄から撤退した場合、日本が中国から沖縄を守れるのだろうかと考えてしまう。習国家主席は、アジアを米国と分け合おうと平気で言っており、中国なら米軍が撤退したときに何らかの行動を起こしかねないように思う。
普天間の負担を段階的に減らしながら未来を考えるのが現実的なように思う。こう書くと沖縄の人は、それならお前の住む地域に基地を造れと反発するかもしれない。しかし、沖縄の負担や痛みを国民は皆共有しているように思う。沖縄は、自然豊かな日本の大切な国土だと誰もが思っていると思う。沖縄の人の気持ちが分かるから沖縄の基地問題に触れるとき誰もがエキスキューズしてから意見を言うのだと思う。
偏向
今回の解散に関する記事を見ているとやっぱりという気がする。それは報道各社の姿勢だ。産経と読売は、予想通り安倍首相擁護論だ。最近の産経新聞の中韓に関する記事は、憎悪をむき出しにした嫌韓記事ばかりのように思う。韓国のいいところも書いたらどうだろうか。日本だって悪いところはいっぱいある。
最近は、産経の記事を読んでいるとうんざりしてしまう。人の悪口ばかり聞くのは、辛いものがある。読売については、90歳近い会長の意向が記事に反映されているのではないかと思ってしまう。後進を育てる人なら何歳でも現役で頑張ればいいが、残念ながら権力者が権力を永らく握った場合、独裁者になることは歴史が証明している。
国益
朝日バッシングについて池上彰氏が次のようなことを言っている。共感できる内容だ。
〇一番私が違和感を覚えるのは、「国益を損なった」という言い方です。極端な言い方をすれば、メディアが「国益」と言い始めたらおしまいだと思います。
〇私は、国益がどうこうと考えずに事実を伝えるべきで、結果的に国益も損ねることになったとすれば、その政権がおかしなことをやっていたに過ぎないと思います。
〇朝日や毎日新聞などもふくめたあらゆるメディア関係者の間でこの言葉(国益)が普通に使われ、権力批判を放棄するエクスキューズになっている。
〇歴史的な発展段階で通る過程において起きることを、韓国だから中国だからこうなんだといって叩いている。ちょっと前は日本だって同じだったよ、という歴史も知らないまま日本の誇りを持つというのは、非常に歪んでいます。
とりわけ、最後の発言は、私も常々思っていたことだ。私は、戦後生まれだが、子供の頃に戦争を題材にしたドラマがたくさん放映されていた。その頃は、何も気にせずにこうしたドラマを見ていたが、戦時中の日本は、北朝鮮と変わらなかったように思う。憲兵が言論統制の先兵となり、一般の庶民が保身のために軍部に協力していた時代が日本にもあったのだ。
失われた人生を全うしたかった
私は、第一次安倍政権のときの「美しい国、日本」というスローガンに違和感を覚えたことを今でも思い出す。そして靖国神社の参拝で「英霊」という言葉を使うことにも強い違和感を覚える。一般の庶民で好んで戦場に行った人はほとんどいないのではないだろうか。赤紙一枚で招集され戦場に散った人々を英霊として参拝することが、亡くなった兵士に対する真摯な対応なのだろうか。
おそらく、戦場で死んだ人たちが一番望むことは失われた人生を全うしたかったということのように思う。家族としあわせな人生を送りたかっただろうと思う。兵士は国のために死んだのではなく、自分の家族の命を守りたくて戦場で戦ったのだろうと思う。
国益とは国家の利益であり、決して国民の利益ではない。今でも、世界中で国益の名の下に多くの人が戦争で命を落としている。だから国益という言葉は、為政者や権力者のために用意された言葉だと思う。池上氏の指摘は、妥当な意見だが、誰でも言える意見ではないように思う。勇気ある発言のように思う。
「真摯」とは、まじめということだけではない。誠実に相手の立場にたって考え、行動し、人から信頼されることのように思う。
昨日、高倉健さんが亡くなったことが報道され、私も声を上げてびっくりしてしまった。正直、高倉健さんの映画をちゃんと見たことはないが、それなのになぜか高倉健さんが好きだ。それは高倉健さんの言動が素直に受入れられるからだ。森光子や吉永小百合も好きだ。何か天皇陛下に対する気持ちにも似ている。それは、とりもなおさず、共通しているのは「真摯」だからだ。
選挙での選択の基準は、「真摯」だろうか。しかし、それに値する候補が出てくるのか疑問だが、どの候補がましかという選択をせざるを得ないのだろうか。
(追記)
定数削減を含めた国会の「身を切る改革」はそもそも、国民に消費税率引き上げなどの負担増を求める代償のはずだった。しかし、一時の熱気が薄れた今、衆院関係者からは「抜本改革ができるとは思わない。定数をいくらか削って終わりだろう」と冷めた声が漏れる。(毎日 11月21日)
自民党の小泉進次郎復興政務官も万歳をしなかった。記者団に対し、「多くの国民の皆さんの反応は、なぜ今(解散)なのかと。万歳している姿が、余計に国民との心の距離を生むんじゃないか」と振り返った。(読売 11月21日)
(追記2)
こんな記事に共感を覚える国民がいるのだろうか?(産経新聞 12月13日)
【日本人の座標軸(21)】戦争は常識も良識も通らない…靖国不参拝に「怠けたこと言うな!」
*ウィキペディアの産経新聞の「歴史」より(ビックリ仰天!)
『2013年(平成25年)4月26日 - 創刊80周年(日本工業新聞の紙歴も算入)・『正論』創刊40周年を記念して進める事業の一環として、緊急時の政府による国民の人権制限・天皇明文元首化・国家緊急権・軍隊保持・国防の義務・国旗国歌規定などを盛り込んだ「国民の憲法」要綱を発表]。』
〇地震と中国が生んだ安倍政権、解散を占う 『日本―喪失と再起の物語』の著者、デイビッド・ピリングFT元東京支局長に聞く
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*「ドイツの再生可能エネルギー拡大は、失敗した」という主張が誤りであることを示している。
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